本日は久しぶりに、小学校受験について書きたいと思います。
過去の記事で、各分野のペーパー対策と運動の対策について書いてきました。
今回は、行動観察について書きたいと思います。
幼児教室では「行動観察」という言い方をしますが、学校サイドでは「生活」という言い方をすることがあります。
テストの内容としては、行動観察なのですが、あくまで学校側のテストとしては「生活」なのでしょう。
■集団活動という行動観察
テスト内容は、どの学校でも集団活動をします。
最も多いのは集団で制作をするということです。
子どもが好きな制作活動をすることで、子どもが夢中になって、子どもの性格が見えてくるということです。
運動や面接の短時間では、子どもは緊張していますから、本来の性格が見えずに終わってしまうことがあるそうです。
逆に、30分間でも集団活動をすると、たいていの子供はテストということが頭から抜けてきて、自分を出してくれるそうです。
幼児教室では「集団活動が最も怖い」と言っていたところもありました。
分かるような気がします。
短時間のテストの場合、練習すれば何とか対応できるものですが、時間が長いテストはそんな付け焼刃ではすぐに剥がれてしまいます。
幼児の子どもが受けるテストなので、学校は子どもの性格を見るのは簡単にしてしまいます。
■集団制作で見ていること
実際に娘が受けてきた内容は下記のとおりです。
お弁当作りをハサミ・糊・クレパスを使って行う。
プリントにおにぎりが入っているお弁当箱が描いてある。
別の紙におかずが書いていて、輪郭が描いているので、クレヨンで色を塗り、ハサミで切り、糊でお弁当箱に貼りつける。
時間があれば、お弁当箱の中に中身の絵を描く。
使った作業道具を片付ける。
おかずの紙には、お弁当以外の絵も描いているので、それは違うということが分かるかどうかも見られます。
お弁当以外にも、水族館を作るように、魚の絵などが題材になり、岩などを作成していくようなテーマもあります。
結局は、内容なんてどうでもよいのです。
このテストの基本は、下記の3点です。
- 1.みんなで共有で使う、ハサミ、糊、クレパスなどを仲良く使えるか?
- 2.題材と違うものが含まれているときに、みんなで相談して、意見を言い合って完成させることができるか?
- 3.作業道具の片付けができるか?
長時間作業による子どもの性格は怖いです。
目的の弁当作りや水族館作りに夢中になって、道具の取り合いになるかもしれません。
みんなで相談せずに、自分勝手にドンドン進めていくかもしれません。
逆に何もしないで、傍からボーっと眺めているだけかもしれません。
完成したら楽しくなって、道具を全く片付けずに、ほったらかしかもしれません。
でも、私は良いと思っています。
このテストは不合格にする子を探し出すテストです。
したがって、一発アウトの行動さえしなければ良いのです。
一発アウトとは「喧嘩」です。それさえしなければ問題ありません。
道具の取り合いになっても、諦めれる子であれば良いです。
勝手にドンドン進めていく子でも、みんなを巻き込めば、積極性があって良いです。
傍から眺めている子でも、少しでもみんなが使っている道具を片付けれる子であれば良いです。
■行動観察よりも重要なテスト
親としては、行動観察のテスト内容に目が行きがちですが、実は非常に大切なことは、この前後にあります。
それは、「スモッグの着脱」です。
ポイントは下記の2点です。
- 1.ボタンが付いているスモッグを自分で着ることができるか?
- 2.全てが終わって、最後にスモッグを脱いで、畳んで返すことができるか?
小学校受験をさせる家庭は、一般的には裕福な家庭が多いです。
そうすると、自分のことを自分でできない子が多いわけです。
スモッグを着ること、脱ぐこと、畳むことができるかどうかです。
■これらのテストの真の狙いとは
スモッグの着脱テストの真の狙いは、服の着脱ができるか否かではありません。
これは、先ほどの集団作業と一緒で、「他の子どもに迷惑をかけないかどうか?」を見ています。
学校は集団生活です。30人のクラスで先生は1人しかいません。
したがって、先生を自分だけが独占することができません。
家の場合は、母親を一人占めすることができるかもしれませんが、学校は違います。
例えば、集団で作業をするときに、喧嘩をされると、先生は情報収集・原因・対策の行動に出る必要があります。
それが学校なのかもしれませんが、些細な事を頻発されると、授業が進みません。
したがって、些細なことは、子ども同士で解決してほしいのです。
スモッグの着脱も一緒です。自分で着れない、脱げない、畳めない子がいると、授業の進行の妨げになります。
私立小学校は、公立小学校+αのカリキュラムをやります。その分、学費が高いです。
学校生活での問題であっても、子どもが成長して起きる問題は先生は積極的に解決してくれます。
でも、「モノの取り合い」や「自分で何もできない」ということで、クラス活動が止まるということは学校は避けたいのです。
したがって、親のやるべきことは、受験に合格できるお人形やロボットみたいな子を育てることではありません。
目の前にある課題(親にとっては小さな課題でも子どもにとっては大きな課題)を自分の力で解決できる子にする必要があります。
そのような子どもを私立小学校が求めていることを忘れずに、準備していってほしいと思います。
■過去の記事
ペーパー対策と運動対策について書いています。