なんでも道しるべ

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大丈夫?iDeCoの“元本保証型”?これで本当に「貯蓄から投資へ」が進むのか?

f:id:anyguidepost:20171216074126j:plainiDeCo加入の手続き中ですが、iDeCoの商品に対してとても不安があります。

それは「元本保証型」商品の存在です。

元本保証型は定期預金にすることですが、iDeCoは本当にそれでいいの?と制度そのものに危惧します。

「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズでiDeCoを導入しましたが、結局は失敗に終わらないよね?

■iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは何といっても税制メリットです。

  1. 積立時には全額が所得控除されるので、所得税と住民税が軽減される!
  2. 運用時には運用益に対して課税されない!
  3. 受取時には公的年金等控除や退職金所得控除が適用され一定額まで非課税となる!

ここまでの税制メリットを与えているのは、やはり「貯蓄から投資へ」国民の意識を変えてほしいからですよね。

今の問題点は人口減少であり、今後、労働人口が減ってきて、公的年金が賄えない可能性が高いからであります。

このままの状況で公的年金を賄うには大増税をしなければならないですが、増税はみんな嫌がります。選挙にも響きます。

したがって政府は、非常に手厚い税制メリットを与えてまで、個人の責任のもと投資を進めてほしいと願っているはずです。

■日本人の現金・預金比率は50%超!

日本銀行調査統計局が出している「資金循環」という資料があります。

この資料によると、家計の金融資産は2017年6月末現在で、下記のようになっています。

金融資産計 1,832兆円

  • 現金・預金 945兆円 51.6%
  • 債務証券 24兆円 1.3%
  • 投資信託 100兆円 5.5%
  • 株式等 191兆円 10.4%
  • 保険・年金・定型保障 520兆円 28.4%
  • (上記のうち保険 367兆円 20.0%)
  • その他 52兆円 2.8%

2017年からiDeCoが始まりましたが、この資料は2017年6月末現在です。

現金・預金の比率は51.6%ですよ。凄い数字でビックリです。

投資という観点では、この中で注目すべきは、「投資信託」と「株式」です。

前年比という項目で数字が出ています。この数字を拾うと、下記のとおりとなります。

  • 投資信託 ▲11.7%(2016年6月末) 15.6%(2017年6月末)
  • 株式等 ▲10.8%(2016年6月末) 22.5%(2017年6月末)

2016年は株式市場が調整年でしたので、資金を引き上げた個人投資家が多かったことが分かります。

その反動からか、2016年末のトランプ相場の影響から、2017年6月末には元に戻って、さらに比率を上げています。

株式の場合は、+10ポイント以上と倍返ししていますので、投資を始めた人が多かったことが分かります。

しかし、iDeCoの商品は投資信託ですので、株式が増えているからといって、iDeCoの効果ではありません。通常NISAの効果かな?

投資信託も2016年のマイナス以上に増えていますが、株式が増えている分だけ、投資信託も増えたと解釈できます。

2017年6月末ですから、iDeCoが始まってまだ半年なので、この数字に反映されていないとも解釈できます。

したがって、この時点ではiDeCoの効果は分かりません。

■金融資産は右肩上がりなのです

先ほどの統計の驚きの数値は、何といっても現金・預金の51.6%でしょう!

改めて数字を見ると、本当に日本人は貯蓄が好きなのだなと認識させられます。

この資料には2004年以降のグラフもあり、非常に興味深いです。

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(引用:日本銀行、資金循環統計(速報)(2017年第2四半期)より抜粋)

金融資産計は、2008年のリーマンショック以降右肩上がりです。

驚きなのは、現金・預金の残高は、2004年以降右肩上がりです。リーマンショックを時でも現金・預金残高は落ちていません。

金融資産計が上下しているのは、株式等の残高が上下していることで起きています。

保険・年金などの比率なんて、この10年以上、ほとんど変化なしです。

■本当に良いの?iDeCoで元本保証型を選択させても…

本題に戻ります。

iDeCoが導入される前から、リーマンショックという世界不況があっても、現金・預金残高が右肩上がりを形成できる日本人です。

現金強し!なのでしょうか?

不況になると、消費を抑えてでも、現金・預金残高を増やすというハングリー精神なのでしょうか?

こんな日本人気質にiDeCoで元本保証型の商品を導入していると、かなりの人数は元本保証型を選ぶのではないでしょうか?

実際、確定拠出年金をやっている過半数の人は元本保証型を選択していると出ています。

企業型は以前からありましたので、その統計数字がほとんどだと思いますが、これはiDeCoの数字が加わっても同じ結果でしょうね。

結局は、税制優遇をするiDeCoで元本保証型の預金を選ばれた場合、国にとっては、預金残高が増えただけで、意味があるのかな?と思えて仕方ないです。

所得税と住民税が全額控除になるという点から、税収が減ります。

iDeCoがあまりコマーシャルされないのは、税収が減るからだと個人的には思っています。

しかし、この12月の年末調整によって、サラリーマンの所得税の還付が開始されます。

おそらく、保険等の所得税還付に加えて、iDeCoによる還付が始まり、噂が噂を呼ぶでしょう。

今年は満額とはいかなくても、来年末には満額で還付される人が多くなるはずです。

そして、住民税が来年から安くなっていくということです。

定期預金を選んだ元本保証型であっても、投資信託を選んだ元本変動型であっても、積立時の税制優遇は同じです。

国民が好きな預金で税制優遇がされるのであれば、引き出し制限のデメリットを受け入れられるなら、元本保証型を選択するする人が増えそうな気がしてなりません。

結局は、「現金・預金残高の割合は維持されて、税収だけが下がる」そんなことが起きるのかもと危惧しています。

一番の懸念は、全く「貯蓄から投資へ」が進まず、積立時の税制優遇が縮小されるということです。

私の考えでは、iDeCoに税制メリットがある限り、商品は投資信託に限定すべきでしょう。「つみたてNISA」のように。