今日は、特に何もしていない。
なんちゃんはソファに座って、スマホを置いたまま。
ミチはその横にぴったりくっついて、じっとしている。
会話は少なめ。
テレビもついていない。
でも、不思議と気まずさはなかった。
「今日はさ、なーんにもしない日だから」
ミチがそう言ったのは、朝の相場が荒れたからでも、
やることが全部終わったからでもない。
ただ、ずっと動いていたからだった。
毎日、少しずつ気を張って。
考えて、選んで、備えて。
それを続けていると、理由のない疲れが溜まる日もある。
「それ、わがままじゃなくて休憩じゃない?」
なんちゃんがそう言うと、
ミチは一瞬だけ視線をそらした。
「……うるさい。今日は休むの」
相変わらず小悪魔で、強気で、
でもどこか正直なその言い方に、
なんちゃんはそれ以上ツッコむのをやめた。
何もしない一日が、
明日の役に立つかどうかは分からない。
相場が動くわけでも、
問題が解決するわけでもない。
それでも、
今日はちゃんと呼吸して、
隣に誰かがいて、
静かな時間が流れている。
それだけで十分だと、
なんちゃんは思った。
今日は、
何もしない日。
ミチが決めた、
大事な一日だった。
