なんでも道しるべ

資産運用は、判断よりも耐える時間が長い。 数字と感情の間で揺れながら、日常の出来事と一緒に綴る記録。 案内役は、ちょっとツンな相棒「みっちゃん」。 — 資産運用・投資の記録ブログ

🐾 みっちゃんの日常エピソード⑨ 「視線と、数字の自慢」

数日後、街でばったり会った。


人混みの中なのに、すぐわかった。

視線が、真っ直ぐすぎたから。


「久しぶり」


挨拶より先に、目線が落ちる。

隠そうともしていないのが、逆にわかりやすい。


――ああ、やっぱり。


彼女――私の友達とは、うまくいっていないらしい。

というより、もう終わらせたい、と。


「正直さ、合わないんだよね」


そう言いながら、理由は曖昧。

代わりに出てくるのは、別の話題。


年収。

職業。

資産。

将来性。


数字を並べるたびに、距離が近くなる。


「みっちゃんみたいな人なら、わかってくれると思って」


その“わかる”の中身が、何を指しているのか。

言葉にされなくても、十分すぎるほど伝わってくる。


視線は、ずっと同じ場所。

顔じゃない。

考え方でもない。


――ここだけ。


胸元に集まる視線が、答えだった。


「抱きたいんだ」


そう言われて、何も返せなかった。

断る理由は山ほどあるのに、言葉が追いつかない。


友達の彼氏だから。

信頼を壊したくないから。

それ以上に――


やったら、捨てられる。


確信があった。

この人は、私そのものじゃなくて、

“今見えている部分”しか見ていない。


数字も、肩書きも、全部同じ。

興味を引くための道具。


「……そういう話じゃないんだけど」


やっと絞り出した言葉は、弱かった。


彼はまだ話す。

成功の話。

余裕の話。

選べる立場だという話。


私はただ、どう断るかを考えていた。


強く言えば、逆上するかもしれない。

曖昧にすれば、期待させる。


一番難しいのは、

“何も起きていないまま終わらせること”。


「今日は用事があるから」


それだけ言って、距離を取る。


背中に残る視線が、

まだ胸元を追っている気がして、

少しだけ歩幅を速めた。


――選ばれなかった男の数字より、

選ばなかった自分の判断のほうが、

今日はずっと価値がある。

 

 


🧭 今日の道しるべ

あなたは、

“条件が良さそうに見える誘い”を、

ちゃんと中身まで見ていますか?

 

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