金融庁が取り組んでいる共通KPIによって、各金融事業者別に個人投資家の実態が明るみになってきています。
先日、日経新聞に載っていたランキングを当ブログでも紹介しましたが、遂に、金融庁がデータをまとめて公表しました。
「顧客本位の業務運営に関する原則」というものを金融庁が取り組むように促していますが、実際に取組方針を公表したのは1,488社だそうです。
そのうち、416社が自主的なKPIを公表し、39社が共通KPIを公表したということです。
「共通KPI」の「共通」というのは私のような素人には、何が基準で、何が共通なのか、定義が良く分からないのですが、公表されるデータやグラフを見ると、「あ、それなのか」と何となく理解が深まってきます。
それにしても39社とは少ないですね。
私が利用しているネット証券や直販投信では積極的に公表しているので、てっきりどこの金融事業者も公表しているものだと思い込んでいました。
このようなデータがどんどん蓄積されて、データが出てこない金融機関や説明が不十分な窓口では投資商品を買わないという雰囲気になることが大切だと思います。
自分の資産ですから、自分で守ることが必要で、受益者が勉強することが、貯金から投資への大きな流れになるのだと思います。
■最初から少し脱線の話
食わず嫌いをしていると、インフレによって資産が減っていくことを実感しなくてはいけません。
最初から全く話が異なり恐縮ですが、NHKの連続テレビ小説では、現在、戦後の生活が舞台です。
小学生の娘が好きなので、毎日欠かさず見ていますが、『300円で喜ぶ姿』を不思議そうに見ていました。
これがインフレであるので、インフレという言葉を使わずに、資産運用・株投資が必要であるということを娘に伝えました。
小学生なので、分かったような、分からないような、そんなイメージでしたが、このような金融学と学校の授業でもやってほしいものです。
資産運用を教えることができる先生はそんなに多くないと思いますが。
■残高上位20銘柄のコスト・リターン
さて、本題に戻って、KPIの傾向分析について、金融庁が公表した2018年11月7日の資料を使って取り上げたいと思います。
窓口サービスがある金融機関はコストが高くて有名です。
でも、人は自分が分からないものはプロに聞けば安心だと思っているので、金融機関の窓口に向かいます。
その時点で、高コスト商品を紹介されるのは目に見えているのですが、販売手数料や信託報酬などに関しては良く分かっていないと危険です。
今回、金融庁がまとめた資料では、各販売会社の預かり残高上位20銘柄のうち設定後5年以上の投資信託(加重平均)について、コスト・リターンのプロット図が載っていました。
このプロットが一番分かりやすいので、これを取り上げますが、プロット形状と色で、金融機関も区別されています。
赤○で記されている銀行や信用金庫は、コストが約2%付近に散りばめられています。
対して、証券会社の青◇はこれら2%を超えるような高コストの商品がある一方で、1%付近の比較的安いコストの商品もあります。
投信会社の黄△は、1%付近のコストです。
ネットで投資商品を勉強している人は推測しているかもしれませんが、資料に記載は無かったですが、おそらくこの黄△は「レオス・キャピタルワークス」「セゾン投信」「コモンズ投信」だと思います。
■カモにされない目利き
コストとリターンは必ずしも一致しなく、ハイコストだからといって、ハイリターンなわけではないです。
また、このプロットの基準日は2018年3月とのことですが、あと数年したら、もっと様子が変わってくると予想しています。
というのは、このプロットには現在のつみたてNISA商品のインデックスファンドが含まれていないです。
今後は0.5%を切るような低コストの商品が上位20銘柄に入ってくると思われます。
その時に、リターンがどの位置に来るのか、そして、コストとリターンの比較がこのプロットで明確にされます。
そして、販売会社別で明確に区分されてしまいます。
私の予想では、赤○の銀行などは、必死で低コストの商品を売り出すのではないかと思っています。
それは、このような公表資料の対策のためにです。
実際の収益は高コスト商品で得るようにして、金融庁の資料には低コストのプロットを載せるために売ってくるでしょう。
我々にとって何が必要なのか、それは、「相手にカモにされない目利き」です。
金融庁公表対策の商品には手を出しても良いですが、収益源とされる商品には手を出さないということです。
どうしても窓口で相談しながら商品を選びたいという人は、自分でしっかりと品定めができる力を付けないと駄目だと思います。
■リスク・リターン・コストの3つを見ることが大切
金融庁がまとめた資料では、その他にリスク・リターンのプロットや、シャープレシオの分布も示されていました。
今回はこれらについては取り上げませんが、リスク・リターンの関係は非常に重要で、リスクが高いものはリターンも高いという傾向は見られたようです。
ただ、ここにコストが入ってくると話が変わります。
銀行系が扱う商品は、リスクを小さくして、その分リターンは小さくなり、さらにコストが高いのです。
出来ることなら、三角相図にしてほしい公表してほしいと思っています。
ハイリスクは日々の振れが大きくなるので、受益者にとっては狼狽の原因となるので、リスクを小さくしたい気持ちは分かります。
ただ、その上にコストが高いので、運用リターンが小さいのにコストはしっかりと引かれますから、受益者へのリターンは小さくなって当然です。
「安全だけど儲けたい」
そんな夢みたいな商品があれば、誰でも欲しいです。そんなものありません。
受益者側である我々も正確な知識を身に付けて、運用にはリスクが伴い、それに見合ったリターンがあることを忘れてはならないと思います。
次回は、各社毎の運用損益別顧客比率について取り上げます。
投資ブロガーの中で有名な「コモンズ」「レオス」「セゾン」の直販投信が1,2,3位を独占しました。