英検の受験料が高過ぎるということで、受験料引き下げを求めるインターネット署名が立ち上がっているようです。
私も以前に当ブログで受験料の推移を書きました。
我が家の場合は準1級を受験しているのですが、ついに1万円を超えたので、これは高過ぎると思ったからです。
準1級の受験料は、2002年度までは4,500円だったのに対し、2003年度に6,000円、2014年度に6,900円、2019年度に7,600円、2020年度に8,400円、そして、2021年度に10,700円の推移をしています。
経済はインフレを起こして当たり前なので(日本全体は30年デフレですが)、値上げがあっても変ではないのですが、約20年間で倍以上になっているのには驚きました。
また、ここ数年の値上げ幅が大き過ぎます。
■一度値上げした受験料は下がらない?
値上げの理由としては、本会場などで学校を借りるのがコロナ禍で難航して、民間の貸会議室が増えたことでコストが上がったということ、会場の完成症対策、受験者数増に伴うスタッフ増員の費用ということです。
理由の前半は仕方ないことですが、受験者数増は理由になっていませんね。
その分、収入も増える訳ですから。
コロナ禍対応で費用増になっているのでしたら、コロナ禍が収まれば受験料は安くなるのか、という話になるのですが、おそらくそのままステイでしょう。
一度値上げをしたものを下げるとは思えません。
英検は学生が多く利用しているものであり、さらに、入試などの外部試験利用ができますから、ここ数年で一気に受験者が増えたと思われます。
TOEICと比べて抽選とかがありませんから、申込者は全員受験が可能です。
受験会場の確保というのは一番の値上げ理由なのかもしれません。
■一次試験のライティング導入の影響
私が感じているのは、コストアップがコロナ禍とか受験生増というものだけではなく、数年前に導入したライティングと、一次試験の足切りが人数制限でない事が影響しているのではないかと感じています。
まず、ライティングに関してですが、ライティングは英作文の採点です。
リーディングやリスニングのようなマークシートではありません。
したがって、ライティングは相当に費用がかかると予想されます。
また、採点者の質を合わせることや、採点基準を合わせるのに、様々な取り組みがされていると思いますので、これらのコスト増も影響していると思われます。
■二次試験に進む人数の影響
一次試験の足切りが人数制限でないという点ですが、これは、例えば他の資格試験であれば、二次試験の受験者数が決まっており、一次試験で合格できる人数が決まります。
それは二次試験が筆記試験などの場合に採点できる人数が決まっているからです。
英検の場合はそんな基準は聞きません。
ある一定の基準に達せば、その人は一次試験を突破できます。
二次試験はスピーキング試験なので、試験官の人数は一次試験を突破した人数で変わってきます。
さらに、一次試験免除期間もありますから、二次試験は相当な人数になると考えられ、受験者数が増加すると共に、二次試験の人数もかなり増えるでしょう。
また、あり得ることとすれば、学生の英語スキルが上がっているということです。
いまは幼児や小学生も英検を受験する時代です。
一次試験を突破できる人数の母数が年々増えていると思われます。
これも英検を受験する人数、二次試験に挑む人数が一気に増えた理由だと思います。
■受験で外部試験利用をすることを決めた文科省
ここまで英検の受験制度から理由を挙げてみましたが、コストアップした原点は、何よりも文部科学省です。
英語は4技能と言い出し、受験においても4技能試験の導入を言い出したが、結局、共通テストではリーディングとリスニングしかできず、ライティングとスピーキングは外部試験に丸投げしました。
それなら、受け皿となった英検などの検定協会は値上げをしてもおかしくないと思います。
学生は受けざるを得ないのですから、値上げされても受験しますから。
けれども、一番の問題はやはり受験料を払えない家庭が出てくることです。
英検は小学生~大学生までの全ての学生が取り組んできた検定であり、今後も英検を利用することが増えてくると思います。
ただし、費用はかかる。
結局、裕福な家庭は何度も受験が可能で、受験料を出せない家庭は数回しか受験ができない。
これってかなりの問題だと思います。
英検は何度も挑戦すれば受験方式にも慣れてきますし、英語を勉強する機会も増えて、英語リテラシーが上がります。
それが家庭の教育費によって左右されることになるうえ、また、それが高校受験や大学受験の合否に影響するということになります。
外部試験利用が増えれば増えるほど、家庭格差が教育格差につながってくるということです。
どうしたものでしょう。
文部科学大臣はどうジャッジするのでしょうか。