楽天証券のトウシルに「ひふみ投信」の藤野氏のインタビュー記事が載っていました。
前後編に分かれていますが、前編は金融教育に関しての意見記事でした。非常に興味深い内容でした。
2016年に行った金融庁の調査では、「金融投資教育を受けたことがない」という人は7割にも上ります。
カリキュラムとして経済は「社会科」に組み込まれてはいますが、日本史、世界史、地理が中心で、経済そのものを勉強する場はほとんどないんですよね。進学した大学が経済学部でもないかぎり。私自身、金融教育のあり方についての議論には加わることがあります。しかし、すごく違和感がある点があります。
「バーチャルマネー1億円で株式ポートフォリオを組んでゲーム対決しましょうか」という話がすぐに出てくるのです。
金融教育のひとつの手段と考えられているのかもしれませんが、私はその案にはいつも反対しています。
投資の知識、経験がゼロの段階で、投資ゲームを体験すれば、「投資はマネーゲームだ」という誤解を余計に強めてしまうからです。私が金融教育として一番効果があると思っているのが「起業体験プログラム」です。
これは、中学生や高校生に対して、ゼロからビジネスを立ち上げる経験をさせるもので、運動会や学園祭といった大きなイベントが行われる中で、「起業家」として、擬似「株式会社」を立ち上げます。
そして、事業計画書の作成から資金調達、実際の運営から決算まで、本格的にチャレンジしてもらうのです。
しかも「擬似」といっても、扱うのは本物のお金。
「会社設立→商品開発→学園祭での商品販売→決算・監査→株主総会→解散」といった企業経営の一連の流れをコンパクトにして、限りなく現実世界に近い条件で体験できるようになっています。
生徒がビジネスを立ち上げようとして、事業内容のプレゼンテーションを行い、出資者役から出資や融資を受ける。そしてビジネスを始める。
利益が上がるように、サービスや商品に工夫を凝らしていきます。最終的には財務諸表まで作成します。
ビジネスを立ち上げようと思っているのに、お金が足りなくてできない人に、お金が余っている人からの融資や出資で、そのビジネスを応援する。
それが「金融」の役割ですから、このプログラムによって、会社と金融のつながりを、肌で感じることができるのです。
多くの生徒が、起業、ビジネスがおもしろいと考え始めます。(引用:運用のカリスマに聞く前編:藤野英人さん「バーチャルマネーでは投資教育はできない」、楽天証券トウシル、2017/11/24、から抜粋)
■学校での金融教育
私が株式投資をやっていることは、我が家の中では当然周知です。娘も知っています。
しかし、娘は「株式投資」をしていると思っているのではなく、「株を買っている」と思っています。
小学生になるかならないかの小さいころは、「株」を食べ物の「カブ」と思っていたようですが。
そんな小さいころは投資という概念を教える気がないので良いですが、小学3年生にもなると、少しは株式という概念を知ってほしいなと思っています。
どこかで教えたいなと思うのですが、この前のような衆議院選挙などがあると国会・衆議院・内閣総理大臣・政党というのを勉強できる機会があるのですが、投資に関しては国民的イベントがないので難しいなと思います。
日本は貯金と保険が好きな人が多いのですが、これは学校教育に課題があるのでは?と考えています。
小中高の時に、会社の成り立ちは勉強すると思いますが、そこに少しでも良いから「投資」ということを教えてもらいたいです。
私自身が社会人になって、株を買うようになってから、株式投資を勉強し始めました。遅いですね。
藤野氏は金融教育と言っています。そのとおりだと思います。
私は株式投資からしか金融をみていません。本当はもっと広い概念で金融を学ぶ必要があると思います。
記事に書かれている「企業体験プログラム」は私が体験してみたいくらいです。
■iDeCoの税制優遇に苦言?
iDeCoの話になりますが、職場の人が「なんで投資する人だけが税制優遇されるの?ズルくない?」と言っていました。
まあ、iDeCoは元金保証タイプもあるので投資だけではなく、年金の補填という目的もありますが、それは置いておいて。
投資する人だけでが税制優遇されるからズルいのでなく、投資するから税制優遇してもらえるのです。
逆に、なんで投資をせずにリスクを負わずに、自分だけ高みの見物をしている人に、税制優遇しなくてはならないのですかね?
藤野氏の言葉を借りるのであれば、株投資は会社に出資しているのです。
それは、会社内の設備投資などでも同じで、投資をしない会社は、しっかりと利益に対して法人税が取られます。
逆に投資をしている会社は、税金少なくしてくれます。
当たり前ですね。投資はリスクを背負うのです。会社内の設備投資だって、不良設備になる可能性だってあるのですから。
でも、それらの投資をしてもらえるから、投資が成功した時には、会社が活性化して、雇用が生まれ、利益が上がり、最終的には国への税金が増えることになります。
だから、税制優遇してもらえるのです。
個人だって同じです。投資してくれる人には税制優遇して、貯金する人には税金を取るというのは正常なことだと思います。(iDeCoはちょっと手厚すぎますがね)
■社会に出るまでが肝心だと思う
投資をするというのはリスクがあるので、嫌だと思っている人に無理にさせることはできないです。
ただ、何もリスクを負わない人が得をするという政策をとってしまうと、頑張ろうという意識が働かなくなります。
社内ニートと同じです。日本の企業は、従業員の雇用維持に非常に手厚い会社が多いです。特に大企業はその傾向があります。
私が会社で仕事をしていると、会社名のブランド(日本企業のブランド名なんて世界に行ったら小さくなるのですが)に溺れて、既存製品にしがみ付いている風潮を感じることがあります。
既存製品にしがみ付けるのは、日本がデフレだったからです。
インフレになったら、既存製品の値上げは企業競争力が低下するので、新製品開発に力を入れなくては生き残れません。
その時に、しっかりと設備投資・人的投資できる会社が拡大できると思っています。
教育も同じで、過去と同じ教育をしていても世界で勝てるわけがありません。
私はブログで教育投資のことも書いていますが、私の苦い経験から、娘には世界の人々と繋がれる力を付けてほしいと願っています。
語学もそうですが、金融・投資の概念も身に付けてほしいです。そこから、自分の好きな分野を広げてほしいと思っています。
そうすると、「なんで投資する人だけが税制優遇されるの?ズルくない?」なんて疑問は出てこないかな。