新しい投資信託の指標「QUICKファンドスコア」についての記事の続きです。
これまでの投信評価の主流であった「シャープレシオ」に代わって、リスクなどの評価が加わった新しいスコアリングが2017年11月から表示されるようになりました。
シャープレシオでない新たな投資信託判断指標の登場!『見合った』をスコア化する - なんでも道しるべ
ちなみに、評価指標は下記のとおりです。
- リスク:運用方針に見合ったリスクを取っているか
- リターン:リスクに見合ったリターンを上げているか
- 下値抵抗力:下げ相場での価格の落ち込みが小さいか
- コスト:コストに見合ったリターンを上げているか
- 分配金健全度:元本を取り崩して分配していないか
ファンドの運用年数も考慮されているとのことです。
総合スコアは、5つの評価指標を総合し、最も評価の高いファンドを10、最も評価の低いファンドを1で表されます。
今日は、これから積立を始めようと思っている「SBI中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)」と「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド」について書きたいと思います。
■SBI中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)
「SBI中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)」ですが、手数料が安い点から「iDeCo」を使ったDC版で積立をしようと考えています。
しかしながら、設立からの日数が足りないためか、QUICKファンドスコアが掲載されていません。
したがって、参考値となりますが、通常のジェイリバイブの評価を確認しました。
QUICKファンドスコア(2017年11月末時点)
総合 10
- リスク 7.10
- リターン 10.00
- 下値抵抗力 9.10
- コスト 7.40
- 分配金健全度 10.00
「SBI中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)」のQUICK投信分類は「国内株式」です。
総合評価10で満点です。凄いですね。
相対評価なので、他の分類とも比較可能だと思いますが、同じ投信分類の「ひふみ投信」を圧倒している評価です。
ちなみに、過去の記事ではすでに示していますが、「ひふみ投信」の評価は下記です。
QUICKファンドスコア(2017年11月末時点)
総合 8
- リスク 3.30
- リターン 9.00
- 下値抵抗力 4.50
- コスト 8.70
- 分配金健全度 9.00
■「ジェイリバイブ」と「ひふみ投信」の差を考察
「リターン」はジェイリバイブの方が高パフォーマンスですし、「コスト」はひふみ投信の方が安いので、各項目のスコアは順当な結果を示していることになります。
ただ、大きく異なるのが、「リスク」と「下値抵抗力」です。
「リスク」はリスク年率を確認してみると、確かに「ジェイリバイブ」の方が分類平均指数のリスク年率に近い値を示しています。
ただ、「ひふみ投信」も同じ投信分類である「国内株式」ですが、ジェイリバイブとひふみ投信の分類平均指数が異なります。
同じ2017年11月末時点なので、同じ数値が出るものだと思っていましたが、ひふみ投信の分類平均指数とのかい離が大きく、ひふみ投信の方がリスク年率が大きくなっています。
いずれ修正されてくると思いますが、このかい離によって、運用方針に見合ったリスクを取っていないと判断されているのかもしれません。
「下値抵抗力」も同じことで、ひふみ投信が分類平均指数に対してリスク年率がオーバーウェートしているので、抵抗力が無いと見られている可能性が高いです。
私の見方が間違っているのかもしれませんが、「リスク」と「下値抵抗力」のスコアにこれだけの差が付いているのは、なぜなのか?と思います。
あとは、ひふみ投信が、設定日から10年経過していないところは差が付いていると思います。
分配金健全度は10年間の評価のような気がします。
現時点で分配金ゼロで、過去10年間でゼロであれば、評価スコアは10.00を与えてくるような気がします。
■ジェイリバイブはとても高評価
ジェイリバイブ単独を見てみると、何をとっても非のないスコアです。
リターンに関してはトップ独走中ですので、雑誌等でもNo.1の称号を与えて褒めています。
一点気になるのは、やはりコストです。
ジェイリバイブDC年金の一番安い信託報酬でも、1.5%(税抜)と高いです。
この高い信託報酬以上のリターンを上げているので、総合スコア10を与えているのだと思います。
国内市場が調整に入ったとき、この信託報酬でもしっかりとリターンを上げてもらえるかが今後のポイントだと思いますが、未来のことは誰にもわかりません。
私自身が、この定期インカムを得られるこの時期に、アクティブファンド中心の攻めの運用をする限り、外せない投信だと思っています。
コストが若干でも下がれば申し分ないですが、コスト以上のリターンに期待したいと思います。
現在、iDeCoの手続き中ではありますが、1月末頃からの拠出で、まずはジェイリバイブDCを積み立てていきます。
■ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)
続いて、「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド」ですが、このファンドは通常版の方がなぜか手数料が安いです。
DC向けは以前からあるのですが、手数料が高いので、通常版を従来NISAでの買付を検討しています。
従来NISAなので、今からでも買付できますが、他のすべての「つみたてNISA」や「iDeCo」の買付設定が順調に行っていることを確認してから、このファンドの買付を行いたいと考えています。
「QUICKファンドスコア」も以前からあるDC向けしか評価されていません。
したがって、参考値になりますが、「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)」の評価を確認しました。
QUICKファンドスコア(2017年11月末時点)
総合 10
- リスク 6.20
- リターン 7.80
- 下値抵抗力 6.90
- コスト 9.90
- 分配金健全度 10.00
「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)」のQUICK投信分類は「先進国株式」です。
比較するのは、やはり「セゾン資産形成の達人ファンド」でしょうか。
QUICKファンドスコア(2017年11月末時点)
総合 9
- リスク 2.60
- リターン 10.00
- 下値抵抗力 5.40
- コスト 9.90
- 分配金健全度 10.00
■「ラッセル」と「セゾン」の違いは?
「リターン」はセゾン投信の方が満点評価ですが、「リスク」と「下値抵抗力」がラッセルの方が勝っているので、総合スコアの差がでているものと思われます。
先ほどと同様にリスク年率を確認してみました。
同じ投資分類の「先進国株式」なので、分類平均指数は同様でした。(やはり「ひふみ投信」データの分類平均指数は少し変なのかも?)
リスク年率に関しては、ラッセルの方が分類平均指数に近い値でしたので、「リスク」評価がラッセルの方が高いのは納得できます。
しかしながら、「下値抵抗力」については、ラッセルの方が最大下落率のマイナス数値が大きかったのですが、セゾンの方が評価が低いです。
最大下落率だけでなく、期間を含めた二次元での評価かもしれませんね。
これらを総合的に判断して、ラッセルが10、セゾンが9と出ていますが、項目スコアを見る限り、この両ファンドに差があるように思えないです。
私自身も運用方針を見る限り、どちらが良いか判断しにくいなと思ったので、両方を積立することにしました。
リターンは後から付いてくるもので、予想しても当たらないです。
「ファンド・オブ・ファンズ」のセゾンと、「マルチ・マネージャー運用」のラッセルで、同じ外国株式への投資対象ではありますが、運用方針の違いの分散投資をしてみたいと思います。
■まとめ
ここまで3つの記事で、現在保有もしくは積立開始しようとしている投信の「QUICKファンドスコア」を確認しました。
あくまで概要としての参考データとなりますが、少し疑問な評価スコアの項目もありました。
ただ、買付しようとしているファンドの評価を事前に確認しておくことは非常に重要だと思います。
総合スコアが低いのは何等かの問題点があるファンドだと思いますし、各項目でスコアが低い理由を知っておくと、そのファンドの注意点を把握できる材料になります。
過去記事の紹介です。
「ひふみ投信」と「ひふみプラス」のQUICKファンドスコアの記事。
QUICKファンドスコアで「ひふみ投信」「ひふみプラス」の評価を確認してみた - なんでも道しるべ
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」のQUICKファンドスコアの記事。