「逃げ恥」というドラマから何を学ぶことができるか。
「逃げ恥」はTBS系の2016年放送のドラマで、初回は10%程度だった視聴率が、最終話では20%にまで上昇した人気ドラマだったようです。
「逃げ恥」という言い方は略称で、正式タイトルは「逃げるは恥だが役に立つ」というものです。
『別に逃げても良いじゃないか』ということですが、タイトルよりも中身の方が斬新で、契約結婚から純恋愛への様々な葛藤が描かれています。
当ブログの記事で取り上げるくらいですから、恋愛に関することではなく、マネーに関することであるのはお分かりでしょう。
私の場合、休日に、このドラマのお金にまつわる分析をした本を読み、どうしてもドラマが見たくなって、一気にドラマを見てしましました。
大学の授業でも取り上げられるドラマ内容ということで、取り上げたくなる理由が分かります。
今後の社会では、この「逃げ恥」のような夫婦が出てきてもおかしくないですからね。
■『好きの搾取』
「逃げ恥」は視聴率が高かったので、ご存知の人も多いと思いますが、知らない人はウィキペディアなどで、あらすじをご確認ください。
簡単に書くと、SEの30代半ばの男性と派遣社員をクビになった20代半ばの女性が「雇用主」と「従業員」という関係で、家事手伝いの契約結婚をするという話です。
届出をする法律婚ではなく、住民票だけを移す事実婚ということになります。
これがドラマの最初の部分ですが、非常に斬新な発想だなと感じましたが、日本では昔から存在する形態であったようですし、海外では今では普通のことのようです。
「逃げ恥」はラブコメなので、この事実婚から法律婚に進む過程が描かれていますが、主人公が第10話で言った『好きの搾取』という言い回しが、様々な捉え方をされているようです。
『好きの搾取』・・・、私も最初は意味が分かりませんでしたが、「好きなら、お金に換算せずに家事をしてほしいと言うのは、愛情を搾取している」という内容です。
男女や、個人個人で、この考え方に対しては賛否両論あるようですね。
私自身、そこまで考えたことは無かったのが反省でもあり、難しい問題だと感じたことでもあり、また女性の家事育児にたいするリスペクトが足りない世の中なのかとも思え、そして、男性中心の労働社会が生み出している問題であると感じました。
■「逃げ恥」にみる結婚の経済学
「逃げ恥」の契約結婚とお金の問題、ワンオペ育児や共働きのお金、今後の未来予想図的な話が書かれているのが、今回紹介したい本です。
この本を買った経緯は忘れてしまいましたが、何かの本をアマゾンで買った流れにより、この本に当たって、偶然、中古本が安かったので買ってしまいました。
(画像をクリックするとアマゾンのページに移動します)
最初の数ページ読んだところで、止まってしまいました。
なぜかと言うと、ドラマの主人公の「みくり(女性)」と、相手の「ひらまさ(男性)」の発言の引用からスタートし、ドラマ内での言動や登場人物にスポットを当てているので、『これは、ドラマを見ないといけないな』と思いつつ、『面白そうなドラマだな』と感じたからです。
本を読む前に、一気にドラマ11話を鑑賞して、そして本の内容に入りました。
経済という言葉がタイトルに入っていますが、どちらかというと、家計的な話が多く、ドラマで家計や家事育児のお金に興味がある人が読み始めても、十分読むことができる内容です。
どちらかというと、これから結婚をしていくような、若い女性をターゲットにして書かれているように感じますが、結婚をして、これから出産・子育てを控えている家庭にも人生設計を考えるきっかけになる本だと思います。
■男の安いプライドを捨てられるか
男性目線で見ると、私のようなダブルインカムや共働きを推奨し、育児・教育を楽しんでいるような人でないと、ちょっとイラっとする内容も書かれていると思いますし、世の中そんなに甘くないと反論したくなるかもしれません。
ただ、私が以前から思っている「男の安いプライド」と「夢見ている母親像」というものをリセットして読める人は、こんな考え方もあるのだなと共感できる部分もあると思います。
現代の世の中は、数年前から女性活躍社会という言い方をさせていました。
この言い回しは、ある意味間違っているのだなと再考しました。
なぜなら、内助の功で専業主婦が夫を支えたから会社で男性が活躍できるのであって、社会全体でみると以前から女性は十分に活躍しているのです。
そのことから考えると、昔に比べて、今は、これからは、『女性が家庭から一歩出て、社会のスポットライトが当たるところで活躍する社会を作ろうとしている』ということですね。
さらに、独身やシングルマザーの女性だけが会社勤めするのではなく、結婚や子育てしている年代の人も正社員で会社勤めする時代になってくるでしょう。
その時に、男性が昭和時代の女性像・母親像をいつまでも語っているようでは、時代遅れです。
そして、安っぽいプライドは捨てて、共働きで家計を設計しないと太刀打ちできない時代がやってくるでしょうし。
■年収1200万円が本当のボーダーラインではないか?
今回紹介した本の帯には、「年収600万円未満の夫は、専業主婦の妻に『好きの搾取』をしている?」という言葉が書かれています。
意味が分かるでしょうか?
私自身、これまで、当ブログで紹介しているように、家計のことを考えてきた自負がありましたが、この帯の意味が分かりませんでした。
内容を読んで、ようやく「年収600万円未満」と「好きの搾取」の意味が分かりました。
内容は実際に読んで欲しいですが、年収600万円はまだ易しいボーダーラインだと思いますよ。
実際に本の中身から考えると、1200万円がラインだと感じました。
それ以下の年収しかない男性は、妻に頭を下げて働いてもらって、自分も家事・育児を50%やるという意気込みで生活しないと駄目ですね。
『家事育児を時給・年収換算するなんて、けしからん』という男性がまだまだたくさんいそうな気がしますが、ほどほどにしないと、グローバルスタンダードから遅れた人間になりそうな警告でもあります。