この10月の株式相場の崩れようは、各株式情報誌でも予想されていなかったような気がします。
まあ、日経平均株価が3,000円超も調整すると書いても、誰も信じるとは思えないですし、たとえその根拠に説得性があっても、ポジションのほぼ全てを利益確定に走る人は少なかったのかもしれませんね。
とはいえ、今回の急落は材料が乏しいとの話もありますし、「相場を読む」ということを仕事にしている人は大変だなと感じます。
経済評論家の山崎氏もその一人で、今回、東洋経済オンラインの連載で反省の弁が書かれていました。
私としては、予想を外したことを批判したいわけではありません。
予想は外れる時も、当たる時もありますし、もっと言うと、私個人的な意見では、それらの記事で売却や買付を決めるようなことをしないので。
「市場のプロたちはそのような見方・考え方をしているのかぁ」とあくまで参考にさせてもらって、自分のポジション整理を進めていくだけです。
特に、長期投資を考えているので、ちょっとの暴騰や急落でいちいちポジション整理をしていたら、作業的にも精神的にも疲れてしまいますからね。
本日の記事は、さきほどの山崎氏の反省の弁の記事で、個人投資家への「2つの教訓」が書かれていましたので紹介します。
資産の運用をしている個人にとっては、急落や調整はとても悩ましいことではありますが、株式のリターン得るには、仕方のないことではあります。
それを山崎氏がまとめて書かれていたので、引用してご紹介しようと思いました。
(引用記事:山崎元氏「相場予想が外れてしまった理由」、山崎元、東洋経済オンライン、2018/10/27)
■株式下落による「嫌な感じ」と向き合う
株式市場に投資していると、精神的に安定するのは、やはり右肩上がりの相場でしょう。
買付時から値下がりしないので、時価総額もマイナスにならないで、株式投資をやっている喜びを感じると思います。
しかし、右肩上がりだと、ドルコスト平均法を使った積立投資は有効ではありません。
右肩上がりの場合は、一括投資の方が機会損失の観点から有利に働くからです。
それであるなら、ドルコスト平均法で投資をやっている自己否定になるということです。
ドルコスト平均法の積立による分散投資をやるのなら、逆に下落を喜ばないといけないわけです。
下落により、量を蓄えて、次の上昇に備えるというスタンスが本来ということですね。
山崎氏は株価の下落について、「嫌な感じ」と例え、これと向き合うことが大切だと言っています。
株価は、短期間にこれだけ動きうるものだということだ。率直に言って精神的には迷惑なことだが、この「嫌な感じ」こそが、株式のリターンがリスクのない金利よりも高くなることの根本原因であり、「リスクの嫌な感じ」を引き受けるための追加的なリターンである「リスクプレミアム」の存在根拠なのだ。投資家は、この感じとずっと向き合わなければならない。
(引用記事:山崎元氏「相場予想が外れてしまった理由」、山崎元、東洋経済オンライン、2018/10/27)
私は当ブログで、ドルコスト平均法は「忍耐」だと書きました。
「忍耐」というと大げさな感じもしますが、山崎氏の言う「嫌な感じ」というのは確かにそうだと思います。
株式市場の下落による感覚は、投資をやっている人にしか分からない感覚で、投資をやっていない人に教えるのはとても大変な感覚です。
説明してくれと言われても、説明できないと思います。
それを山崎氏は「嫌な感じ」という言い方をしています。
私は長期投資によって、この嫌な感じというものに耐性を付けていきたいと思っています。
今はたいした株式資産額(リスク資産額)ではないですが、これを何十年も続けると、特に退職して老後生活を始めるときには、それなりのリスク資産が構築されていると思っています。
その時に、この「嫌な感じ」の耐性を備えておかないと、株式市場と共に生きていくのが困難だと思っているのです。
■スイングトレードの難しさ
高値で利益確定して、安値で買い戻すという、スイングトレードというものが本当に上手くいくのでしょうか?
株式市場で短期的に利益を上げたいと思っている人が、試みようと考える手法ですが、個人投資家が相場のプロが集まる市場でそんなに簡単に売買ができるのかなと思います。
山崎氏はその点についても書かれています。
仮に投資家である読者が、日経平均2万4000円の時点で持ち株の一部を売っていたとして、さて、もくろみどおり10%近く株価が下がった現時点で、たとえば日経平均2万2000円の水準にあって、(1)さらに下落しそうだから持ち株を売るのか、(2)もうこれ以上下がりそうにないから株式を買い増すのか、判断するのは極めて難しいことを確認しておこう。「10%の下落」は、これを当てることも難しいし、10%近辺で買い戻すのも難しいのが投資家にとっての現実だ。
(引用記事:山崎元氏「相場予想が外れてしまった理由」、山崎元、東洋経済オンライン、2018/10/27)
キャッシュポジション比率は、どの個人投資家でも抱える課題だと思います。
そのキャッシュをポジション整理によって準備するのか、それとも、いわゆる貯金から持ってくるのかによっても、対応が変わってくると思います。
投資をやっているひとは、機会損実という呪縛も存在しますから、リスク資産が減ってくるとそれはそれで心地悪いものです。
市場の下落によるものだと耐えるだけですが、売却によるものだと買い戻しのタイミングを図りたくなります。
その辺りの「投資のやり方」というのは各人の考え方によるので、異なって当然なのですが、スイングトレードをやり始めると精神的に疲れるのは確実だと思いますね。