株式投資において、バイアンドホールドは非常に難しいです。
特に、資産の大半を株式に投入している人ほど、バイアンドホールドが難しくなっているのではないかと推測しています。
その理由は、余裕資金が少なくなってくると、下がった時に拾えなくなるから、心もとないという想いが強くなるからだと思っています。
相場に慣れてくると、自分はチャートが読めるようになってきた、市場の動きが分かるようになってきたと思いがちです。
けれども、そんな簡単にチャートを読んで稼ぐことができたら、少し投資をかじっただけで誰でもお金持ちになれるのですから、世の中そんなに甘くありません。
売買を繰り返して稼げるほど甘い世界では無いのです。
■現金状態は居心地が悪い
投資の基本はバイアンドホールドだと思っています。
それは、投資に興味がある人は、できるだけ資金を市場に晒しておきたいという想いが強くなるからだと思っています。
現金で持っていても、機会損失になっているかもしれないと思うと、現金で持つことが損だと思うようになり、市場にお金を投入したくなります。
だから、利確しても、結局は現金で保持することに抵抗感が出てくるので、結局は市場に投入したくなるから、たいして値幅が取れずに、単に売買の疲労を受けただけになってしまいます。
売買を純粋に楽しむようなトレーダーの人であれば、趣味の一環のように面白いのかもしれませんが、目的はあくまで資産拡大だと思って、ツールとして株式投資を使っている人は、結局のところ、バイアンドホールドが最も効率の良い投資法だと分かるはずです。
特にインデックス投資をすればするほど、その気持ちは強くなります。
なぜなら個別株と違って、市場全体の影響を受けやすく、個別の銘柄の影響を受けにくくなるからです。
個別銘柄を一つひとつ吟味しても、結局は、市場の流れで動くのであれば、そんなファンダメンタルズな分析なんてあまり効果を示しません。
というか、個人でそんな分析が十分にできるのであれば、アクティブファンドがインデックスに負けるという事実がおかしいってことになりますからね。
それよりも、市場が伸びるのか、セクターが伸びるのか、将来性のある分野なのか、その辺りを考えた方が効果的だからです。
個人投資家サイドからすると、実はあまりやることはなく、いかに買っていくか、いかにタイミングよく買っていくか、それだけであり、売却のことは実際にお金が必要になった時以外は考える必要がないのがファンド投資ということになります。
■結局は市場に晒したくなる
投資をしていると利益確定をしたくなる瞬間が必ず来ます。
私自身も20年以上投資をやっていますが、利益を確定して、また下がった時に買えばどれだけ儲かるだろうと思ったことか。
けれども、そのような考えは往々にして裏切られます。
思ったように下がらないとか、思いとは逆に上がっていくとか、そんなことが多く、自分の予定とは違った動きをするのが相場というものです。
そして、株式投資をやっているからゆえに、ポジポジ病にかかるのです。
そもそも現金で持っているのは、貨幣価値の目減りや、機会損失だから投資をやっているわけですから、現金で持つ期間が長ければ長いほど不安になってくるものなのです。
だから、結局、自分の想定よりも早く市場に入っていくものなのです。
だからゆえに、利益確定をしたのであれば税金分が無駄になりますし、NISA枠を手放したのなら非課税枠が無駄になるのです。
毎日チャートとにらめっこをして、売買を繰り返している人ほど、無駄な動きはありません。
それなら、ホールドができる握力を鍛えた方がよほど良く、チャートを眺めるのは、次にいかに買うポイントを引き寄せるかに使うのです。
そのためには、現金余力を持っている方が強くなるので、フルインベストメント状態というのはかなり精神的にも辛くなってくる状態になります。
全資産がリスク状態になっていること、そして、下がった時に買い増しすることができない状態になること、これらはかなりストレスが溜まる状態になるでしょう。
投資仲間の話を聞いていると、バイアンドホールド派とスイングトレード派に大きく分かれます。
デイトレードほどではないにしても、トレードをしたくなる人は、トレードすることによる利確に意味があると思っているようですし、利確しないと気分が乗らないみたいな雰囲気です。
逆に、ホールド派は、いかにホールドし続けるかに力を注いでおり、握力を鍛える方法を模索しているような感じがします。
投資の世界は正解がありません。
何をやっても儲かった人の勝ちになりますし、それが正しい行為だったということになります。
過程よりも結果が全ての世界なのです。
それがマネーゲームと言われ、市場がしのぎを削って戦っている部分もあると思います。
そのような世界でリスクを晒しているわけですから、自分が信じた方法を突き進むのみです。