マネー投資本で役立つと思った本をご紹介しています。
これまでに超有名な本や、つみたてNISAを始める前に読んでおいた方が良い本などをご紹介しました。
今回ご紹介する本は、「全面改訂 ほったらかし投資術」です。
この本は、経済評論家で、大学の先生や楽天証券で活躍しておられます「山崎 元」氏と、有名な投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の運営者である「水瀬ケンイチ」氏が共同執筆されている本です。
たしか、山崎氏が水瀬氏を誘って書き始めたことがきっかけだったと思います。
過去にも「ほったらかし投資術」を一緒に書かれているようですが、新しいインデックスファンド、ETF、NISA、個人DC(まだiDeCoという呼び名ではなかった)が拡大してきたことから、内容充実させて全面改訂したそうです。
したがって、2015年6月発行版が最新の「ほったらかし投資術」となります。
文庫本で読みやすいです。価格も760円+税ですので、買いやすい価格です。
私なりの感想を紹介します。
■脱!トイレトレーダー
まず衝撃的なのは、水瀬氏の個人投資家あるあるです。
私が、思わず笑ってしまった内容が、
悪材料が出たら、一目散にトイレに駆け込み、ケータイで売却なんてこともありました。「デイトレーダー」ならぬ「トイレトレーダー」の誕生です。
その通り!私もやったことあります。
サラリーマンは昼間は仕事です。でも株価は気になります。仕事中に株が暴落ってときは気になって仕方ないです。
ブレグジットの時は、トイレではないですけど、ちょうど私は出張中で移動だったのですが、そこらにいるサラリーマンの方々はみんな株価を見てました。
個人投資家でなくても、企業DCやっている人は、自分の投資額が気になりますよね。
DCは見たところでどうしようもないと思いますが、個人投資家の方々はトイレトレーダーでなくても、狼狽売却している人が多かったのではないでしょうか。
インデックスファンドへの積立投資はそんな暴落時でも継続することが大切です。
そんなことを教えてもらえるのがこの本で、ちょっとでもトイレトレーダーでグサっと来た人は読んでみると面白いです。
■無リスク資産の考え方
山崎氏は数々とところでインデックス投信を進めておられるので、書いてる内容は重複することがありますが、水瀬氏のコメントが含まれるので、個人投資家目線での解説も加わり、分かりやすい内容です。
アセットアロケーションについても難しい関数式ではなく、概略を説明してくださっています。
両者が考えている無リスク資産は「現金」と「国内債券」のようです。
「外国債券」は債券の名ですが、為替が大きくきいてくるので、リスク資産に入ると考えられるとのこと。
さらに、為替リスクの割には、リターンが小さいので、リスク資産に入れることすら必要なしとの考えが書かれています。
この本の中に書かれていたか記憶が乏しいですが、山崎氏は「国内債券」として、「変動10」を進められています。(私は持ってないです)
あとは、値下がりリスクを心配せずにお金を置いておく場所としての「現金」だそうです。
「現金」そのものの運用は私はあまり好きではありません。インフレに対して目減りリスクがあるからです。
けれど、何かあったときに現金がないと心もとないとも言えますが、最近の投資商品は1週間もあったら現金化できます。
私の考えでは、そんなに現金比率を高める必要はないのでは?と思っているわけです。
生活防衛金という考えもあります。我が家では、そこら辺の普通預金や妻が趣味でやっている定期積立を合わせれば防衛金程度にはなるかなと思っています。
でもそれは、毎月一定したインカムの予測がついているから可能だと思います。
無リスク資産を含めたアセットアロケーションの考え方も各家庭で違うと思いますが、今度、その辺りの我が家の実情を記事にしてみようと思います。
■リスク資産は50%ずつ?
リスク資産として、「国内株式」「海外株式」「外国債券」になりますが、上記の理由から、「国内株式」と「海外株式」で良いとのこと。
そして、「国内株式」と「海外株式」を50%ずつ持つということです。
投資を始める方には簡単な分け方なのでこの比率で良いかもしれませんが、私はこの50%ずつというのは少し疑問というか、もう少し突っ込んで考えることを安心感を深めるためにお勧めします。
というのは、50%ずつというのは、有効フロンティアの計算をすると、だいだい40-60%の間に入ってきます。
ここでは株式同士ですが、株式と債券の有効フロンティア計算でもだいたい同じ結果が出ます。
では、有効フロンティアは自分にとって受け入れられるのか?という疑問です。
私も計算通りにアセットアロケーションを分けようかと思ったことがあります。
確かに、リターンはそこそこで、リスクを抑えれる関係から丁度良い組み合わせなのかもしれませんが、自分で納得できるかです。
「もう少しリスクをとっても良いからリターンを欲しい」という考えがある場合には、リターン側にシフトしていく必要があります。
けれども、有効フロンティアという考え方を知っておくのは良いことですし、だいたいは40-60%に入るんだなということが分かれば良いかと。
一番重要なのは、リスクである2σ超の暴落が来た時に、何も考えずにひたすら積立ができるかだと思っています。
当ブログで私が悩みを書いているように、「海外株式」を実際に積立しようと思うと非常に悩みます。
「米国株」「先進国株」「新興国株」「日本株の有無」
これらで、どのような比率が自分で納得できるかと、それに見合った商品があるかどうかですね。
その考えの基礎となる本になると思います。
■インデックスファンドの紹介
さすがに水瀬氏も共同執筆していることもあり、個人投資家にはインデックスファンドの紹介ページはとても参考になります。
この本が執筆された時点では、外国株式は「ニッセイ外国株式インデックスファンド」が最も手数料(信託報酬)が安かったですので、この商品がおすすめと書かれています。
しかし、2015年以降も手数料の安いインデックスファンドはたくさん出てきましたし、2018年のつみたてNISAに向けて現状は乱立状態になります。
そういう意味では銘柄紹介がちょっと古いのですが、それは仕方ありません。
考え方を勉強する意味で読んでいくことをおすすめします。
水瀬氏のチョイスと山崎氏の考え方が分かってきますので、あとは自分で探して、良い商品を選ぶだけです。
■結論
インデックス投資を知ってから、最初の方に読んだ本なので、とても新鮮さがあったことを覚えています。
この本は難しくなく、個人投資家目線というか、個人投資家が陥りやすいリスクや行動に警笛をあたえ、「インデックスでほったらかすのが良いよ」ってことです。
すでにインデックス投資という名を知っていて、「インデックス投資ってなんだ?」って思う人が最初に読む本としてとても良いです。