前回までに、「つみたてNISA」で積立をしようと考えているインデックスファンドのメンチマークとのかい離と実質コストについて書きました。
また、先進国株式インデックスファンドの信託報酬と実質コストに関して、各社の比較を行いました。
今回は、新興国株式インデックスファンドの実質コストに関する比較です。
新興国株式は、当然ながら新興国に投資することから、コストが高めについてきます。
もともと信託報酬が高いのですが、さらに運用コストを含めた実質コストが高くなります。
新興国の株式に投資をするかどうかも議論の分かれるところです。
「成長の罠」はハイテク株だけの問題ではなく、新興国でも起きる問題です。
さらに新興国は政治が不安定な部分もあるため、金融情勢が安心できるかどうかも課題です。
■新興国株式インデックスファンドの指標
新興国のインデックスの指標は、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」が使われることが多く、対象は23か国です。
- 中国、韓国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ
- ロシア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、トルコ、UAE、カタール
- 南アフリカ、モロッコ、エジプト、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー
国名を見るだけで「不安だな…」と思うのは私だけでしょうか。
新興国への投資はリスクがありますが、アジア・アフリカを中心とした新興国はこれからも人口増加とともに成長していくと思っています
少しの資金でも新興国に投資していると、何十年後かに「投資してて良かった!」と思えるかなと考えています。
もちろん、成長の罠に引っ掛かり、投資時価が半分以下まで落ち込むこともあるかもしれません。
投資はリスクがつきものなので、投資とはそんなものです。リスクを取ってこそ、リターンがあります。
そのため、世界中に分散した新興国株式インデックスを「つみたてNISA」にすることで、できる限りリスク分散を図りたいと考えています。
■新興国株式インデックスファンドの信託報酬と実質コスト
さて、新興国株式インデックスファンドの信託報酬と実質コストの比較です。
先進国株式と同様に、信託報酬が比較的安いファンドを挙げて、比較してみます。
データは、『ダイヤモンドZAI ONLINE、2017/6/21公開、2017/9/29更新、【2017年最新版】「インデックスファンド」コスト比較ランキング!信託報酬・実質コストがもっとも安いファンドは?』を参考にさせてもらいました。
ファンド名:信託報酬(%)⇒ 実質コスト(%)= 運用コスト(%)
・iFree:0.34% ⇒ 1.239% = 0.899%
・たわらノーロード:0.495% ⇒ 0.744% = 0.249%
・三井住友DC:0.56% ⇒ 0.721% = 0.161%
(参考:ダイヤモンドZAI ONLINE、2017/6/21公開、2017/9/29更新、【2017年最新版】「インデックスファンド」コスト比較ランキング!信託報酬・実質コストがもっとも安いファンドは?)
データからは、先進国株式でも起きたことですが、信託報酬は①iFree⇒②たわらノーロード⇒③三井住友DCですが、実質コストは、①三井住友DC⇒②たわらノーロード⇒③iFreeとなっています。
iFree新興国株式インデックスはFTSE RAFI Emerging Indexの指数を使っているので、運用コストがかさんでいるのでしょうか?と少し疑問に思っています。
さらに、私が「つみたてNISA」で積立をしようと考えているeMAXIS Slimについて推測してみます。
eMAXIS Slimは最低水準の信託報酬を掲げていますが、設定日から1年経過していませんので、
運用報告書が発行されておらず、実質コストが不明なため不安です。
ファンド名:信託報酬(%)⇒ 実質コスト(%)= 運用コスト(%)
・eMAXIS:0.6% ⇒ 0.767% = 0.167%
・(推測)eMAXIS Slim:0.34% ⇒ 0.507%(eMAXISの運用コストを足した)
eMAXISの運用コストは0.167%で、三井住友DCとほぼ変わらずの上手な運用をしているとみえます。
この運用コストをeMAXIS Slimに当てはめると、あくまで推測ですが、実質コストは0.507%となります。
この推測が合っていれば、実質コスト順は①eMAXIS Slim⇒②三井住友DC⇒③たわらノーロード⇒④iFreeとなります。
eMAXIS Slimの運用報告書が発行されないと何ともいえませんが、これでいくと、eMAXIS Slimは2位以下を大きく突き放す結果となりそうです。
このまま、eMAXIS Slimを購入したら良いのか?
もう少し悩んでみようかと思います。
■気になること
今回のデータ比較により、いくつか調べたいことが出てきました。
- 「三井住友DC」は低コストの運用をしているけれど、かい離は問題なかったか?
- 「三井住友・DC全海外株式インデックス」において、先物で運用しているためにかい離が問題となっているが、新興国株式インデックスは同じようなことが起きていないか?
- 「eMAXIS」も低コスト運用できているが、この商品は現物運用しているのか?
- 先進国株式で運用コストが良好であった「たわらノーロード」はどのような運用をしているのか?
新興国株式は純資産総額が少なく、どのよう商品も運用が難しいように見受けられます。
これはインデックスファンド全体で言えることかもしれませんが、日本ではインデックスファンドはウケが悪いのでしょうか?
それとも、販売において、信託報酬が低く儲からないから案内していないのか?
「つみたてNISA」導入においても手数料の高いアクティブファンドの存在が議論されていたようですが、インデックスファンドの純資産総額の伸びに関しても非常に悩ましく問題だと個人的には思いますし、また疑問に思うところです。