偏差値教育の批判はありますが、これって言葉だけが先行しているような気がします。
パッと聞くと、偏差値教育と聞くと、偏差値を使った指標が悪いように聞こえますが、この批判の本質は偏差値を上げることに注力するような勉強方針ということだと認識しています。
勉強の芯の部分を理解せずに点数だけを取らせるような勉強法というのは、確かに、後から使いものにならない人を作りかねません。
一問一答形式の問題の時かは、時間とコスト面からすると非常に効率の良い勉強方法ではありますが、筋を考えなくなるというのは良くないです。
学生の間は答えが分かっている問題をひたすら解いていくのですが、世の中に出ると、答えがない課題を乗り越えることを求められます。
推測でも、推定でも、ヒラメキでも、なんでも良いので、何かしら答えを出していかなくてはいけません。
その発想力や考察力というのが社会人にとっては大切になります。
その土台を作っているのが、高校までの勉強だと思っています。
知識が無ければ何も考えられないとも思えますので、とりあえず理解はできていないけど覚えてしまう、このようなことが必要なのも分かっています。
一つひとつに止まっていたら何時間、何日あっても足りないですからね。
ところで、この偏差値という指標、以前から批判が強いので、私も先入観として良い印象をもっていませんでした。
けれども、塾の模試テストなどの対策勉強をしていると、点数よりも偏差値の方が重要だと思えるのです。
■問題の難化・易化は偏差値で見ないと
模試テストの勉強は、過去問と弱点補強が中心になってきます。
そもそも、模試テストなんて範囲が広いですから、学校の定期テストのような端から端までの勉強なんてできません。
過去問を解いて、自分の苦手な部分をもう一度頭に入れていく、この作業が重要です。
過去問だって当たり前ですが全範囲を網羅しているわけではありませんので、複数年の問題を解く必要があります。
複数年の問題を解いて、自分の弱点を把握して、そこから再度勉強していく、この作業はあくまで基礎基本ができている人でないといけませんが、これには相当の時間がかかりますので、入試対策では最も時間がかかり辛いところ。
ある意味、これが受験勉強の中心になるのかもしれません。
その前提としての、模試テスト対策としての勉強となる位置づけです。
やっていることは、入試対策を一緒です。
過去問に関しては、年によって難化している問題もあれば、易化している問題もあります。
これらの問題を相対的に確認できるのが、結局は偏差値だということです。
■点数だけで一喜一憂しない
模試テストの対策として、過去問を複数年やっていくというのは当然にすることです。
その場合、年によっては簡単なこともあったり、難しい問題だったこともあったりと、点数を見るだけでは全く分からないことが多いです。
なので、80点とか60点などという点数には全く意味がありません。
簡単な問題の年に80点であっても喜べないですし、難しい問題の年に60点であっても実力がないとは言えないからです。
そんな時に役に立つのが偏差値という指標です。
問題が難しくあろうが、簡単であろうが、周りの人の出来と自分の出来の比較であるので、偏差値というのはとても役に立ちます。
点数が良くても偏差値が低ければダメですし、点数が悪くても偏差値が高ければ良い訳です。
娘と私で決めているのが、各教科単体の偏差値としては60を目安としています。
60以上であれば一安心で、65以上であればよく出来たという位置づけで、逆に60を下回るとちょっと心配という感じですね。
それが本当にこんな現象があり、点数としては80点あっても偏差値60ギリギリってこともあれば、60点で落ち込んでいても偏差値が60を優に超えているということもあります。
なので、点数だけで判断せずに、偏差値で判断した方が良いです。
馬渕教室の公開テストの過去問はその辺りの偏差値がきちんと掲載されているので、それが良い点だと思います。
■得意な教科が難化した方が都合よい
当たり前のことではありますが、偏差値というのは母数のレベルによって大きく変わります。
良く勉強する集団であれば、偏差値60でもレベルは高い方ですが、あまり勉強しない集団であれば偏差値70取らないと安心できません。
偏差値を見る時にはその辺りの母数レベルを確認する必要があります。
塾であれば、ある程度勉強する子が集まっていますから、偏差値60や62.5というのが一つの基準になると思いますけどね。
あとは、5科の偏差値のことを考えると、取れる教科でどれだけ稼げるかというのも重要な戦術の一つです。
感覚的にいうと、自分が得意な教科が難化している年の方が、5科でも偏差値が上がりやすいです。
得意な教科が易化していると差が付かないので、5科の偏差値が低くなりがちです。
なので、このような模試テストや入試というものは、実力以外にも運の要素もあるなと思います。
もちろん、運・不運に関係なく確実に上位に食い込める方が良いに決まっていますが。