2024年から始まる新NISAですが、総額最大1,800万円という数字が大きいので注目されますが、それ以外にも、非課税期間が無期限であることや、売却しても翌年に枠が復活するという点も見逃せません。
おそらく、こんな話が出てくるだろうなと思っていたのですが、想像どおりの展開になっています。
あるネット記事で、「新NISAで人生三大支出の準備をしよう」という内容です。
人生三大支出とは、住宅資金、教育資金、老後資金です。
確かにこれらは非常にお金がかかります。
家を購入するとなると、住宅ローンを組むにしても頭金の数百万円は準備をしなければ安心できませんし、諸経費や引っ越し、内装の購入費などを考えると、手元にまとまったお金を準備しておく必要があります。
教育資金に関しては、国公立で行くのか、私立で行くのかによって全く変わりますが、学校費用、塾費用、その他習い事の費用、通学代、修学旅行や海外留学などの関係費用、部活動、などを考えると、1人1,000万円というのが目安です。
老後資金に関しては、以前に話題になりました老後2,000万円問題がありますよね。
これらを総合すると、子どもの数にも左右されますが、4,000万円~6,000万円というところが大きな出費でしょうか。
これらをNISAで準備しようというのが、目にした記事の内容です。
厳密にいうと間違っていないですし、枠が復活する仕組みを利用するのなら、これらの三大支出を新NISAで準備するのは良いことなのかもしれません。
けれども、頭を整理して考えて欲しいのが、新NISAは大きさなどが変わりますが、あくまでこれまでと同じ非課税制度です。
一度投資したものは、長期で運用した方が、複利効果と非課税枠の観点からも良い訳です。
長期投資なので、老後資金は新NISAというのはかなり当てはまると思いますが、住宅購入費の一部や教育資金を新NISAで積立投資するのはちょっとナンセンスだと思いますね。
なぜなら、老後資金と違って、必要な時期が決まっているからです。
老後資金は、退職金があったり、別口座で貯蓄があったりすれば、たとえ市場が調整局面や暴落状態であっても、耐えることはできますが、家は必要な時に買う必要がありますが、子どもの年齢は停止できません。
必要な時に必要な資金を準備したいですし、そもそも、家の購入なんてものは最初に訪れるので、運用期間が少なすぎます。
新NISAだけにとらわれずに、もっと広い視野で家計管理をすることが大切です。
■新NISAで住宅資金と教育資金は短期投資になってしまう
いわゆるアセットアロケーションという考え方ですが、自分の資産をそれぞれに分けた場合、生活防衛資金や投資資金、貯金で持つのか、株を買うのか、債券を買うのか、不動産を買うのか、その辺りの感覚を持っておかないといけません。
特に、人生三大支出の中の住宅資金や教育資金という二大支出は、どちらかというと生活防衛資金というか貯金になると私は考えます。
なぜなら新NISAは長期で運用してこそ複利効果の意味がありますし、株式相場のリスクを考えるとこれらのお金を株式運用に突っ込んでいるのは怖いからです。
なので、考え方を変えて欲しいと思います。
私の考え方は下記のとおり。
- 新NISAで、これら二大支出(住宅資金、教育資金)を運用しようと考えない。
- 新NISA分は老後資金の為や、急遽どうしても必要な資金のために、できるだけ手を付けない。
- 資産運用はリスクがあることを認識し、長期積立をベースで考える。
- 仮に、運用で利益が出てきてリスク資産へのバランスが偏ってきたら、その時は、二大支出のための資金の方に貯金額を増やしてバランスを取る。
人生の現役世代で必要なお金はリスクの少ない貯蓄ベース考えるのが基本だと思っています。
インフレというリスクは残りますが、今の日本ではそこまで考えるほどインフレ率は高くないです。
もちろん、現役世代であれば、毎月の収支もありますから、それも考慮に入れて、貯金額と新NISAを利用した資産運用額を考える必要があると思っています。
■非課税枠復活制度による勧誘などに注意
新NISAで枠の復活があるという制度から、このような話になると想像はついていました。
これはまだ自分の運用額のケースなので、マシだと思っており、実際に新NISAがスタートすると、枠復活を考慮した商品が出てくると思っています。
どのような形態になるか想像は難しいですが、ファンドの入れ替えキャンペーンみたいなものをする商品が出てもおかしくないです。
もっと悲惨なのは、窓口などで入れ替え勧誘が起きるということです。
非課税枠が復活するので、言葉巧みに入れ替えを推奨してくると思っています。
今回のような記事の内容は、少し考えれば、NISAで数年後などに必要な資金を運用するなんてナンセンスってことは分かると思うのですが、実際に投資初心者だと、奇麗な右肩上がりのグラフを想像して、何も考えずに、全力投資してしまう人がいるかもしれません。
投資はマイナスになることが多々あります。
特に投資から年月が浅いとマイナスになる確率は高くなります。
リスク運用はそのようなことがあるんだなと頭の片隅において新NISAを上手に利用すべきかと思います。