信託報酬の値下げ合戦がどんどん激しくなっています。
ついに、大人気のeMAXIS Slimのオールカントリーが動きました。
人気の投資信託なので、他社のオールカントリーが値下げする商品を発表されると、どうしようかと悩んでいた人も多かったと思います。
でもこれで一安心、eMAXIS Slimのオルカンを持っている人は何も悩むことは無くなりました。
というか、この一連の動きで、eMAXIS Slimに更なる信頼度が増したということになったと思います。
私自身も、実質コスト差からSBI・Vシリーズが好きでしたが、ここまで追従してくれる姿勢を見せられると、eMAXIS Slimも本気で考えないといけないという気持ちになりました。
また、世界で最も安いと言われていたバンガード社のVTの手数料も下回るわけですから、結構凄いことです。
まあ、信託報酬が手数料を下回っても、実施すコストは下回らないので、やはりETFが最も安いというのには変わりないですが、それでも円建てが購入できる、再投資不要などを考えると、投資信託が最も使いやすいです。
手数料が高いというのは一番の弱点でしたが、これでほぼETFと変わりません。
日本にいながら全世界株式に安く投資できるんですから、もうこれでいいんじゃないか?って思いになりますね。
私個人としては、オルカンよりもS&P500の方が好きなので、今後もS&P500を中心にで積立投資していきますが、オルカンよりも信託報酬が高いのは納得できません。(笑)
今回のオルカンのようにS&P500でも値下げ合戦を繰り広げてほしいです。
■eMAXIS Slimも信託報酬0.05775%へ
今回、この業界で凄い話題になっているのが、eMAXIS Slimの全世界株式(オールカントリー)の信託報酬が0.11330%から0.05775%に値下げになったことです。
この信託報酬ですが、実は伏線があり、最初は日興アセットのTracersがこの0.05775%で投信を立ち上げたのですが、必要経費が含まれていないということで、eMAXIS Slimの三菱UFJ国際投信は追従しないと発表していました。
けれども、第二段として、野村アセットが同じ信託報酬0.05775%で「はじめてのNISA全世界株式インデックス(オールカントリー)」という商品を発表しました。
この商品に関しては、必要経費が含まれていそうということで、ついに野村アセットは利益度外視で顧客の抱え込みに走ったという話題になりました。
これに対し、これまで人気商品だったeMAXIS SlimやSBI・Vはどうするのかな?という想いになっていた人が多かったのですが、ついにeMAXIS Slimだけが動きました。
まあ、後で書きますが、SBI・VはETFのVTを買う仕組みなので、この信託報酬にはどうしてもできないという状況になっていますから、今回の追従はキツイでしょうね。
■実績があるのは強い
さて、話をeMAXIS Slimに戻して、こちらの商品はすでに運用実績があるので、実質コストもしっかり分かっています。
最近の2023年4月の運用報告書を見ると、実質コストは0.166%ですから、信託報酬の0.113%を差し引くと、隠れコストは0.053%となります。
仮に今後も同じ隠れコストで運用できたとした場合、信託報酬が0.05775%に下がっていますから、実質コストは0.11075%となります。
これは本当に安いと思います。
世界的に有名なバンガード社のETFであるVTは手数料が0.07%ですから、0.11%まで迫ってきました。
差が0.04%ですから、100万円でも400円の差なので、ちょっとした先物と現物の差などでひっくり返る差しか残っていません。
同じようなオルカン指数であっても、実際に運用していると、リターンは微妙に差が生まれます。
なので、0.04%なんて、ちょっとした運用差で埋まりますから、もう手数料争いは気にするところでは無くなりました。
すでに大人気のeMAXIS Slimですから、これで人気と実績は不動のものになったと思います。
■S&P500も信託報酬争い開始?
これで、次に気になる部分としては、S&P500投資信託の信託報酬争いです。
今のところ、信託報酬の最安値が0.09372%です。
この信託報酬で複数社が横並びの状態なので、どこかが先に値下げを発表すれば、みんなはそれに追従することになるでしょう。
新NISAが始まる2024年までに値下げされるか、2024年後に値下げされるか分かりませんが、かなり高い確率で値下げされると思っています。
というのは、オルカンが0.05775%にも関わらず、S&P500が0.09372%というのは変な気分なのです。
S&P500は米国500社ですが、オルカンは全世界の数千社ですからね。
どう考えてもS&P500の方が運用しやすいはずですからね。
最後に、私の好きなSBI・Vシリーズですが、この投資信託はバンガード社のETFを買い付け投資信託です。
なので、バンガード社の手数料に0.0638%を上乗せするという形の信託報酬の設計になっています。
したがって、今回のオルカンの場合、VTの0.07%で、すでにeMAXIS Slimなどの信託報酬を超えていますから、0.05775%以下にすることは不可能なのです。
さあ、SBIはどうするのでしょうかね?
隠れコストもあるので、ETFを買うだけの簡単な仕組みですが、信託報酬や実質コストがそう簡単に下がらないような気もします。
S&P500がもし値下げ合戦になっても、SBI・Vシリーズは追従が難しいと思っていますが、ここは何かアクロバティックな商品が出てくるのでしょうか。
そうしないと、eMAXIS Slimの不動の一位の座を奪うのはかなり困難だと思いますよ。
ちょっとSBIの動きが見ものですが、どうしようもなくこのまま放置だったら、2024年の新NISA対応は三菱UFJ国際投信が独り勝ちになってしまいますね。