資産を貯めることを生きがいにしている自分には、資産を使うという考えがなかなか整理できないのですが、積立投資をやっている人は、いつか訪れる資産の切り崩しも考えないといけないそうです。
投資の真の目的は「何らかのタイミングで使うこと」にあります。
お金は棺桶には持って行けないですからね、何かしら対処しなければなりません。
といっても、私自身はたとえ相続税が取られても、資産は遺産として残せばよいと思っています。
一方で、子どもの教育的には資産は残し過ぎない方が良い、自分自身の稼ぎで生きるという覚悟が必要、という意見もあります。
分からなくもないですね。
一応、資産の切り崩しについて考えてみておきますか。
■資産は心の借金!?
老後に旅立つ直線に資産を持っている場合、その資産は心の借金であるという話があります。
そのロジックは、お金を貯めていたということは、その分、自分の経験が減っていた、やりたいことが出来なかったことであり、資産に比例して、経験できなかったという借金だったということです。
若いうちは資産運用するよりも自己投資した方が良いという話に似ていると思いますが、少ない収入から一生懸命資産を貯めたということは、その分、趣味や経験にお金が使えなかったと言い換えられるのかもしれません。
お金を貯ようという意識が働くのは、お金がないと不安だから、その裏返しだと言われます。
したがって、過度に不安にならなければ、資産を貯めよう、貯金をしようという意識が少なくなるのかもしれません。
確かに、資産運用でも、どうしても投資をしない人の考えというのは、お金を失いたくないからという理由が強いです。
投資はお金を失うという恐怖に駆られている人もいますし、元金割れという感覚が絶対に許せないという人もいます。
そんな人が、宝くじを買って、当たるかな、当たるかな、ってウキウキしているのはちょっと滑稽ですけどね。
話を戻して、お金は貯めるよりも、使う方が難しいと言われています。
これも、同じ理由になるのですが、現役世代において、貯金を一生懸命頑張った人は、お金が減るという感覚が分からないので、老後になっても貯金を切り崩すことに躊躇してしまい、年金内で細々と生活している人が多いと聞きます。
実際に、統計データでも、貯金を切り崩しは10%程度だと言われていますので、資産の90%程度は何も手を付けずに終わっていくということです。
この感覚、似て非なる物ですが、株式の売却にも似ている部分があると思っています。
株式(投資信託でも良いですが)への投資では、買付よりも売却の方が難しいです。
買う作業はそれほど難しくなく、買おうと思えば買うのは躊躇しないのですが、売却時はなかなか売る作業は躊躇してしまうものです。
本当にお金がすぐに必要だったら、たとえマイナスでも売却すると思いますが、すぐに必要なければ少しでも儲けたいという想いが出てきて、売却クリックができないのです。
これと、貯金が切り崩せないという想いは、似ているような気がします。
■老後のリスク許容度
とはいえ、念のため、老後の運用についても考えておいた方が良さそうです。
現役世代は収入があるので、リスク資産100%までとは言わなくとも、80~90%程度まで上げても問題ないですが、老後はリスク資産を半分程度まで抑えた方が良いという意見が大半です。
その理由は、株式相場が暴落などで大きく値下がりした時に、それが老後だと、かなりショックが大きいからという理由です。
まあ、分からなくもないですが、これをもう一つの4%ルールと考えると、ちょっと悩ましい問題です。
米国では常識化している4%切り崩し法ですが、米国株式インデックスが年6~7%程度は上がっていたという過去データから、インフレ率を差し引いて、4%ずつリスク資産を切り崩していけばよいという話です。
資産5000万円で200万円という感じで、1億円で400万円切り崩せることになります。
けれども、これは資産を全てリスク資産に入れている場合であり、先のお勧めのように、リスク資産と非リスク資産(貯金など)を半々にしていたら、途端に4%切り崩しルールは半分の額になるということです。
とはいえ、最初に書いたように、資産は使ってナンボという精神があれば、リスク資産も切り崩し、非リスク資産も切り崩し、非リスク資産は減っていくということに違和感がなければ全く問題ない話ということです。
この辺りは、自分の性格と考え方と、リスク許容度で決まりますから、資産形成時のリスク許容度と同じことになりますね。
貯金は貯めるよりも、使う方が難しいというのは、何となく理解できます。
けどまあ、まずは貯めることに一生懸命になりたいものですね。
使うという意識を持つと、現時点でも貯めることよりも、使うことに意識が行ってしまいます。
選択と集中という概念からは、まずは目標達成するために、使うことなんて考えないというのが自分のポリシーですね。(笑)