スマホ代が高いと感じている人は多いと思います。
ここでいうスマホ代というのは携帯電話料金ではなく、機種代金です。
特にiPhoneでいえば、毎年のように新機種が発表され、機種代金も年々上昇しています。
当然、価格が上がっているのは、性能が上がっているので、高いと感じながらもぼったくりというイメージはありません。
iPhoneが欲しい人、新機種が欲しい人は、半ば諦めているというか、スマホ代は高くて当然という感覚になっています。
それに、以前までは家族の限られた人しかスマホを保有していませんでしたが、今では、家族全員が持つようになっており、中高生でもスマホを持っています。
それに、中高生の場合は、9割がiPhoneのようですから、流れ的に、高いスマホを必然のように購入させられるということです。
iPhoneって世界中で売られているので、この流れは世界共通かと思ってしまいますが、実は、家庭事情は世界共通ではありません。
その理由をご説明いたします。
■スマホ代金は高い?
iPhoneの機種代金って年々高くなっていますから、5年前や10年前と比べて、買い替え費用は半端なく上がっています。
それが、家族で2台~5台くらいもっているのですから、最近だと、ちょっとした電化製品を2年毎に数台も買い直している感覚です。
白物家電でも5年から10年は悠々と持ちますから、スマホのような電子機器がどれだけ短命なのかが分かります。
それだけ買い直し頻度が高いのであれば、機種代が安ければ文句もないのですが、その代金が最新機種の場合、1台10万円以上するのですから大変です。
廉価版のiPhoneSEが良く売れるというのも分かります。
■日本人はまだiPhoneが持てる
ところで、スマホの機種代金の買い替えというのは、家計にどのくらいのインパクトがあるのかを把握されているでしょうか?
iPhoneの場合、世界的に販売されているのですが、各国で多少の価格差があったとしても、ベースは同じ価格です。
ですから、裕福な国の人はiPhoneを保有することができますし、貧しい国の人はiPhoneなんて夢のまた夢になってしまうというわけです。
日本人で産まれて良かったと思うところですし、途上国に産まれていたら、もしかすると一生に1階すらiPhoneを手に持てないかもしれませんからね。
日本は先進国なので、働けばそこそこ給与がもらえて、iPhoneに手が届く家計になるわけですが、それが他の先進国と比較すると、iPhoneの負担率は全く変わってきます。
例えば、米国と比較すると全く負担率が違うようで、それが新聞に取り上げられていました。
■日米のiPhone負担率が異なる
新聞に比較が載っていたのは、2009年と2019年のiPhoneの負担率です。
2009年と2019年では当然スマホ代が違っており、2019年の方が高いので、負担率は高くなると思われがちですが、それと同時に家計の収入も増えていますし、インフレも起きています。
必ずしも価格の絶対値で比べられないということです。
(月給9万円、もう買えない 「安いニッポン」の現実、日経新聞、2021年6月26日から引用)
上記に示したように、負担率が上がっているのですが、米国は収入も増えているので、負担率の上がりが日本ほどではありません。
逆に日本は、収入の伸びが小さいので、負担率が45%にまで拡大しています。
45%になると、月収の約半分を持っていかれる計算です。
これはちょっと買えない家庭も増えてきますので、最新上位機種ではなく、廉価版のSEを購入したくなる気も分かりますね。
■日本の問題点がここでも出た
この現状で一番の問題点は、iPhoneが高っていることでもなく、家計負担率が上がっていることもないです。
一番の問題点は、日本の収入が上がっていないことです。
米国の場合は4300ドルから5500ドルに1200ドルも上昇しているのにも関わらず、日本は35万円から37万円しか上がっていません。
それが大きな問題なのであり、それはインフレが起きていない問題点です。
デフレになると、モノが安くなり、お金の価値が上がるので、良いと考える人がいるのかもしれませんが、それは大きな間違いです。
デフレは競争力のないものは安く買えてラッキーなのかもしれませんが、iPhoneのように競争力のある最新製品はインフレが起きないとだんだんと手が出せなくなっていきます。
インフレが起きてないと、国全体が弱体化していっているというわけです。
投資をやっている人はこの事実を理解している人が多いのですが、実は、日本人の大半は理解できておらず、お金を貯めて、安いものばかりに走る傾向があります。
個人個人で他人のために消費をしてお金を回す必要がありませんが、国全体として国の活力を高めることをする必要があります。
人口が増えるとインフレが起きやすいのは事実ですが、日本は少子高齢化なので、もうそんなことは言ってられません。
人口が減ることが明白なので、技術を高めたり、企業価値を高めたり、新製品開発を進めたり、新興企業の育成をしたり、国としてはやるべきことはたくさんあるはずです。
そうしないと、いつか、日本人はiPhoneに手が出せなくなってしまうかもしれませんね。