楽天から低手数料の新ファンドが爆誕しました。
これも新NISAをにらんでのことでしょうし、eMAXIS Slimにシェアを奪われてはダメだという危機感から設定したファンドだと思います。
客観的に見ると非常に遅い反応だと思いますが、それもこれも楽天のこれまでの商品との関係性もありそうです。
今回爆誕した商品は2つですが、一つは、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」で、もう一つが、「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」となります。
実は両方とも、近い商品を持っていたんですよね。
楽天VTIというS&P500ではないですが、全米株式のインデックスファンドがありました。
もう一つ、楽天VTという全世界(オールカントリー)のインデックスファンドです。
両方のインデックスファンドも、これらが誕生した時には、投資信託業界には衝撃が走ったものです。
というのも、手数料が当時ではかなり安かったですし、それに米国バンガード社のETFを買い付けるという画期的な商品だったからです。
けれども、そこから数年経って、いまでは、ETFを買い付けるのではなく、自前運用で手数料の安いインデックスファンドが溢れかえっています。
一番有名なものはeMAXIS Slimだと思います。
このeMAXIS Slimシリーズによって、楽天VTIや楽天VTの買い付け売り上げは徐々に減ってきたでしょうね。
今となっては、完全に後から設定されたeMAXIS Slimのインデックスファンドに追い抜かれています。
楽天の中ではどうしようか?と考えたと思います。
既存の楽天VTIや楽天VTの手数料を下げるのか、もっと別の視点から自前運用の商品で低手数料のものを準備するか。そんなことを議論されたと想像します。
そこで出した結論が、既存の商品はそのまま放置しておいて、新たに自前運用の低手数料インデックスファンド設定ということです。
■楽天も勝負の一手
今回、楽天が新たに設定した商品は、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」です。
この2つの商品、何がすごいのかというと、手数料は同じベンチマーク商品の中で最も安いものに合わせていますし、また業界最安値を狙う宣言もしています。
そして、ETFを買い付けるのではなく、自前運用をすることが前提になっています。
目論見書内では、ETFを買うことや、先物を買うことを容認していますが、おそらく大半は自前運用になると思います。
そしてインデックスファンドの低手数料ですからね。
楽天としては勝負手を打ったことになります。
商品が、S&P500とオルカンなので、この商品で当たらなければ、他の商品で当たるわけは無いです。
結構気合いを入れて誕生させたのではないかと想像しています。
■業界最安値合戦はこれからも続く!?
この2つの商品の一番の特徴は手数料です。
手数料は業界最安値に合わせていますので、人気のS&P500もオルカンも最も安い手数料になっています。
表でまとめてくれているユーチューバーの方がいましたので、各商品の手数料などの表を引用しておきます。
(引用:YouTubeチャンネル「S&P500最強伝説」から)
こちらはS&P500ですが、もちろん最も安い商品はVOOのETFになるわけですが、ドルベースで購入が必要ですし、円建てのETFでもそれなりの手数料がします。
同じくらいの手数料でもっとも安いとなると、結局のところ、これまでのeMAXIS Slimや野村のはじめてのNISAか、今回の楽天S&P500に決まりってことになります。
実のところ、SBI・VシリーズでもS&P500がありか、実質手数料ではeMAXIS Slimに若干勝っていますが、他社の商品がこれ以上の手数料を下げる競争が起きると、おそらく、負けてしまうので、eMAXIS Slimを中心に業界最安値のファンドを選んだ方が賢明です。
さらに、全世界株式オールカントリー(いわゆるオルカン)の一覧も見ておきましょう。
(引用:YouTubeチャンネル「S&P500最強伝説」から)
こちらに関しては米国ETFのVT方が、手数料が高くなっています。
もう日本国内では洗練されまくって、手数料はかなり安く、0.05775%になっています。
ここから安くなるのは相当難しいと思いますが(それでも顧客獲得競争ならやってくるかもしれません)、これもeMAXIS Slimを筆頭に選ぶことになります。
一つ疑問なのが、S&P500よりもオルカンの方が手数料は安いって点です。
人気差もあると思いますが、全世界よりもS&P500の方が運用しやすいと思いますので、S&P500の手数料値下げはおそらくあると思っています。
すでに昔の商品を持っている人は、特定口座の場合などは税金との関係があるので、買い直しは難しいと思います。
これからできることと言えば、新NISAの買い付けは手数料の安いファンドを買っていくということです。
それでも一つ気をつけないといけない注意があります。
それが実質コストです。
実質コストは1年後の運用報告書を見ないと何とも言えません。
今の感じからすると、運用実績が分かりやすいeMAXIS Slimを選ぶ人の方が多いかもしれませんが、今後の更なる値下げのために、楽天の新商品2つにも頑張って欲しいものです。