先日、東大理Ⅲに進学した女医の先生が、学生の時の勉強の仕方について解説していました。
その方は、エビングハウスの忘却曲線が非常に衝撃的で、忘れたくないために、いろいろと試行錯誤していたそうです。
大人になると忘却曲線のことは聞く機会が多いのですが、学生の時はあまり聞く機会がありません。
おそらく、学校の先生や塾の先生は話しているのだと思いますが、関心がないから頭に入っていないというか、意識していないから、覚えていないのだと思います。
親になって、エビングハウスの忘却曲線は非常に気になります。
なぜなら、自分が勉強しないで、子どもが勉強するわけですし、少しでも成績が上がってほしいと願っているからです。
忘却曲線を気にした勉強法について考えてみました。
■エビングハウスの忘却曲線をもう一度
理Ⅲに進学した先生は、忘却曲線が気になって、復習をこまめにしていたそうです。
塾の授業の休み時間に、数分だけノートを見直す、塾の授業が終わってから少しだけ席に残ってノートを見直す、帰りの電車の中でノートを見直す、家に帰ったらすぐに宿題をやる。
1日ですでに復習を3回も4回もしていたといいます。
これは忘却曲線を意識した勉強法です。
有名なエビングハウスの忘却曲線は時間が経つにつれて記憶が抜けていくことを実験されています。
あくまで、意味のない音節を覚えたケースではありますが、下記のようになると言われています。
- 20分後に42%忘れる
- 1時間後に56%忘れる
- 1日後に67%忘れる
- 2日後に72%忘れる
- 1週間後に75%忘れる
- 1か月後に79%忘れる
20分後~1時間後には約半分を忘れているのは衝撃ですが、1週間後になると4分の3は忘れていることになり、1ヵ月後には8割が忘れています。
あくまで意味のない音節の実験なので、何かに紐づけて覚えているのとは違いますが、例えば単語とか漢字とか、まずは基礎中の基礎を覚えるという場合は、これに近い忘れ方をしている可能性はあると思います。
なので、英単語などは語源を知ることや、関連単語や例文を勉強する事で忘れにくくする必要があるのです。
ここで話が終わってしまうと、忘れるから注意しようで終わってしまいますが、さらに他の人が面白い研究をしたデータがありました。
■復習の研究結果
忘れるので、いつ、どれだけ、復習をするのが良いのか、という話です。
エビングハウスの忘却曲線の前提は、勉強した瞬間は記憶率100%というわけです。
この記憶率100%に戻すというのをすればよい訳です。
研究によると、下記のように復習をすれば、記憶率は100%に戻ると言われています。
- 勉強した後、24時間以内に10分間の復習
- その次は、1週間以内に5分間の復習
- さらに次は、1ヵ月以内に3分復習
これらをすれば記憶率は100%に復活すると言われています。
これらのミソは、きちんと復習をすれば、徐々に短時間で見直しをするだけで記憶が復活するというわけです。
けれども逆にいうと、こまめに復習をしないと、エビングハウスの忘却曲線のように忘れていくということを示しています。
復習の大切さはそこにあるということです。
■宿題は記憶を戻す作業
何年か前、小学校で宿題を出すことに反論している父親がいました。
子どもが宿題をしないことで、学校から注意を受けていることに対する反論ですが、そもそも宿題を出す学校が悪いという言い分です。
まあ、この言い分の是非は置いておいて、宿題をやるというのは、ここでいう記憶を戻すという事に関して効果があるということです。
忘却曲線でいうと、学校で習って家に帰ると数時間は経過しているので、およそ60%程度は忘れていることになります。
したがって、数十分で良いから宿題によって記憶を取り戻すことで、記憶率100%に戻せるということになります。
なので、宿題を家でやるというのは非常に重要であることが分かります。
また、たまに小テストがあったり、学校の定期テストがあったりすることで、1週間や1ヶ月単位で勉強することになりますから、またまた記憶率100%に戻る時がやってきます。
逆にいうと、宿題をきちんとやらない人は、記憶率を100%に戻すことを拒否しているので、テストの点数があがるはずがないということになりますね。
■賢くなりたかったら復習をこまめにやる
理Ⅲの学生がやっていた復習の方法は異常的に回数が多いですが、それでも、実験結果から見ると理にかなっていることをしていることになります。
勉強で悩んでいる人は、「賢くなりたかったら復習をこまめにやる」
これが今回の結論です。
学校の教え方が悪いとか、塾のカリキュラムが悪いとか、時間が無いとか、そんなことは関係ないですね。
人間の脳として忘れるように出来ているのですから、生活のなかで忘れないような仕組みを作ることが大切です。
復習をたくさんやることは大変なのかもしれませんが、徐々に復習時間を減らせることも分かっていると、気分的に楽になるかもしれませんね。