最近、高校受験に向けた志望校の絞り込みをやっていて、いろいろと感じることがあります。
昔と違って、今の時代はそこそこ賢いか、そこそこお金のある家庭であれば、子どもは大学へ進学するパターンが多いです。
大学へ進学しなくても、専門学校などへ進学するか、高校の時に高等専門学校に行く場合もあるので、結構な確率で、高卒で就職という生徒は減っているのではないでしょうか。
けれども、今は少子化の時代なので、大学の定員割れが半数になっているという現状。
国公立は授業料が安いので生徒は来てくれますが、私立は何としてでも生徒を集めないと存続危機になります。
なので、あの手この手で生徒を集めようとしているのです。
いわゆる、指定校推薦や付属校の乱発です。
地方で田舎の高校であれば、そんなことは気にしないで、地元の公立高校に進学して、国公立を目指して、あわよくば難関私立大に引っかかればという感じだと思いますが、それはそれで、指定校を使わせてくれないとか、国立至上主義とか、いろいろと問題も多いようです。
我が娘の通学圏は、そこまで田舎の事情ではないですが、中途半端に地方であり都会なので、私立高校の誘惑もあり、選べるは選べるでも悩みの種になります。
住んでいる地域の人によってはうらやましい悩みなのかもしれませんが、選択肢が多いというのも問題だと思いますけどね。
■学校と塾の事情
いま、非常に話題になっているのが、首都圏の早慶やMARCH、関西圏の関関同立が余りにも、指定校や付属校から進学をさせて、一般入試の枠をドンドン減らしているという状況です。
これって、地方に住む人にとっては深刻な問題で、一般入試枠が減るということは、有名私大に進学できる確率が減るということです。
けれども、この事実ってあまり、学校や塾では教えてくれません。
なぜだか分かりますか?
学校の場合、指定校や推薦枠を私大が増やすのを喜びません。
理由は、学校やクラスのモチベーションが落ちるからです。
推薦などで年末までに合格が決まっている学生は、クラスにとっては邪魔な存在にしかなりません。
もう受験が終わっているので、当たり前ですが、勉強なんてしないですし、基本的に来年の大学生のことや遊ぶことしか考えないようになるからです。
学校の先生としては、旧帝や地方の国公立受験者、合格者の人数が評価には重要です。
それは先生個人の問題でもありますが、そもそも少子化で統廃合の噂が広がる現状では、学校の評価はイコール合格実績ですから、国立大学への進学実績が重要となるためです。
また、塾にとっては、推薦を使う生徒はお金になりません。
塾の先生にとっては推薦に逃げられると、いきなり何十万円~何百万円ものお金が飛んで行ってしまうのです。
それは避けたい、どうしても一般入試をしてほしい、だから推薦を推さずに、一般入試を推奨するのです。
これにより起きているキャンペーンが、一般は賢い、推薦は学力が低い、という煽りです。
■推薦はまじめキャンペーン
私立大学としては、どうしても学生を集めたいですから、指定校や推薦をばら撒いてでも学生を集客する必要があります。
そのためなら何でもするという印象です。
ですから、私立のトップである早慶であっても、一般枠を減らしてでも学生を確保しているのです。
もちろん、この裏には、偏差値を落としたくないという考えもあります。
一般枠が減ることで、競争倍率が上がりますから、必然的に偏差値が上がるというトリックです。
そこで、私立大学がどのようなキャンペーンをしているかですが、それが、推薦で入学した生徒は学生のGPA(授業科目の成績評価に対して点数(GradePoint)を与え、その点数に各科目の単位数を乗じた合計を、履修科目の総単位数で割って算出した平均値)が高いというデータを公表したのです。
以前までは、推薦は学力が低いと言われていましたが、推薦はまじめだという話に落ち着いているわけです。
一般入試の学生は、入試で燃え尽き症候群になってしまい、大学生活をまじめに送らないという話ですね。
■中学生では決められない
このようなことを考えると、何が正しいのか、何が本人にとって幸せなのか、分からなくなってきます。
しっかりと勉強して国公立大学を狙う方が健全なのか、指定校推薦を狙うようなまじめな高校生活を送る方が良いのか、という話です。
まあ、どちらも正解だと思いますし、どちらを選択しても悔いのない決定であれば良いと思います。
一番厄介なのが、この選択は中学生の段階では難しいということです。
本人が決められると一番良いのですが、このような事情といいますか、ちょっと大人の事情も入っているので、国公立だの、私立だの、一般受験だの、指定校だの、付属校上がりだの、これをきちんと話して決めてもらうのは難しいです。
それに、子どもにとっては、勉強よりも、学校生活中心の楽な方に進みたいでしょうし。
結局は親が考えないといけないのか・・・と憂鬱になりながら、進路選択といいますか、志望校選びを考えている今日この頃です。