受験業界において、「受験とは自分との闘いだ」とはよく言われますが、最近、この言葉の重みを感じます。
あくまで受験というものは、合格する者がいれば、不合格になる者もいます。
合否があり、また、それは他人との比較なので、他と比べたがる気持ちは分かりますし、私も比べています。
けれども、途中過程では自分の位置を知るために他人と比べますが、最終的には合格最低点をクリアすれば良いので、自分との闘いとなります。
この考えに関しては、受験というものが、何百・何千人も合格者を出すからです。
トップアイドルや売れっ子芸能人などは、星の数いる人のなかでトップにならなければなりませんが、受験に関していえば、大勢が合格できるわけですから、最終的には他人と比べるのではなく、その大勢の大群に入ったもの勝ちという発想です。
この意味からいうと、ある時点から、他人と比べるのではなく、自分で仕上げていくものだということが分かります。
■通知表に反映されないテストは勉強しない?
娘が通っている中学では、実力テストが実施されます。
その実力テストが通知表の評価に反映されないことが発表されました。
定期テストがその直後にあるのですが、多くの生徒が実力テストの範囲は勉強せずに、定期テストの範囲に絞っているそうです。
年間スケジュールは年度初めに配られていましたので、実力テストと定期テストの日程が詰まっていることは知っていました。
なので、娘は定期テストの勉強をいつもより早めに開始し、実力テスト直前は定期テストの勉強を中断しようと考えていたようです。
あるとき、塾で定期テスト用の問題集が早めに完了していることに驚いた先生が、「早めにやってたの?」と聞いたらしく、娘は、「次の週末は実力テストの勉強がしたいから」と答えたそうです。
それを聞いた同級生が、「え?実力テストは成績に入らないで」と言ってきたそうです。
その発言に対しては、娘は適当に返答したそうですが、心の中では、『どんなテストでも良い点取りたいし』と思ったそうです。
このやり取りと個人の考え方が、受験における自分との闘いというのを物語っているなと思えました。
■学校のテストを「基礎の確認」に利用する東大女子
自分の娘はそれほど優秀ではありませんし、ましては難関大学に合格できるような素質もあるわけではありませんが、やはり勉強への姿勢は大切だと思えました。
別のエピソードですが、東大に合格した女子が言っていたことです。
高校生になると、大学入試で一般受験を念頭に置いている人は、学校の成績や評定は全く気にならなくなります。
特に国立の難関大学だと、ほぼ一般受験となりますから、一発勝負です。
いくら高校の定期テストで良い点を取って、いくら評定が高くても意味がありません。
共通テストと二次試験で合格最低点を上回った者に合格が与えられるからです。
そうなると、定期テストは赤点さえ取らなければ、ギリギリでも良いので、定期テストの勉強はそこそこでも良いという考えもあります。
時間のない生徒や学力をもっと上げなければならない生徒であれば、そのような戦略も重要です。
ただ、その東大女子は違っていました。
学校の定期テストを「基礎の確認」に利用していたのです。
大学受験は基礎・基本が大事だと言います。
東大女子は元々成績が良かったのだと思いますが、学校の定期テストでも無駄にせずに、基礎に穴が無いかを確認するために利用していたのです。
結局、勉強ができる子、いまひとつの子の差はココだと思うのです。
■テストに対する姿勢の差が受験前に突き付けられる
学校の定期テストまでの準備時間が無ければ、実力テストの勉強を捨てなければなりません。
実を取るためには、内申点に直接影響する定期テストを優先することは間違っていません。
ただ、まだ中学生です。
それに学校の年間スケジュールだって年度初めに配布されており、実力テストと定期テストの日程が近いことだって周知されているわけです。
早めにどちらかの勉強をスタートしておけば、両方の勉強をするくらいのことはできたはずです。
中学の学習内容なんて、たかがしれており、たいした量ではありません。
また、1学期に定期テストで一度勉強した内容なので、復習すれば良いだけの話であり、範囲もかなり狭いです。
それに、高校受験などを考えると、もう一度勉強する事に無駄は無いはずです。
別に娘を褒めたいわけではありませんが、このようなテストや勉強に対する姿勢の差が、結局は積み重なっていき、高校受験や大学受験前には大きな差となって現実に突き付けられるのだと思います。
中学生であれば、まだまだ挽回可能です。
数学でも1ヶ月半毎日勉強すれば、3年間の内容は学習できると言われているくらいです。
なので、夏休みだけでも十分に取り戻せます。
やるか、やらないか、ただそれだけのことです。
勉強は、ある程度まで他人と自分の位置を偏差値や順位などで確認する必要がありますが、最終は自分との闘いであることは忘れてはいけないと思います。