高校受験生の方々には勘違いしてほしくないことがあります。
塾の営業トークで、たまに聞くのが、「通知表の評定が悪くても、当日に点数が取れれば、合格は十分に可能です」という文言です。
もちろん、当日で点数が取れれば可能だと思いますが、それは当日に点数が取れればです。
当日に点数が取れないから困るんですよね。
高校受験は地域によって基準やルールが違うので、単純比較はできないのですが、内申点と当日点が1:1であったり、内申点と当日点が1:5であったりするところが多いかと思います。
当日の独自問題を重視したい高校は、当日点の配分を増やす傾向にありますが、それでも、内申点を全く考慮しないというところは主に私立になり、公立は内申点が加味されます。
塾の先生が言うように、当日点の配分が高いと、通知表の評定が悪くても大丈夫というのは、計算上はそのとおりですし、実際にそのような結果が過去にたくさんあったのでしょう。
それでも私が思うには、通知表の評定はよい場合には自分を楽にしてくれると思っています。
■内申点は1つの教科として考える
当たり前ではあるのですが、通知表がオール5の生徒は内申点が135点になります。
対して、オール4の生徒は内申点が108です。
単純ですが、もし仮に内申点を1つの教科とした場合には、オール5の生徒が100点にあるのに対し、オール4の生徒は80点となるわけです。
ここで20点の差が付くことになります。
この20点差を当日の5教科で逆転しなければなりません。
受験をするうえで、苦手な教科があると、まずはその教科の克服に入ります。
その理由は、すでに得意な教科の点数を上げるよりも、苦手な教科の点数を上げる方が伸び代はあるからです。
もちろん、受験が迫ってくると、得意教科を伸ばすという作戦もありますが、それは直前期であって、基本的には苦手教科を克服していくことを最優先にやるはずです。
そうなると、冒頭の塾の先生のフレーズはおかしなことになるわけです。
当日点で十分に合格できるというアドバイスではなく、「内申点(通知表)も1教科と考えてしっかり頑張りましょう」となるのが普通ってことです。
なぜ、塾の先生は当日点でも合格に届くというのか、それは簡単で、ポジショントークだからです。
通知表の評定というのは、5教科に加え、副教科の4教科も入っています。
副教科の4教科は、塾側としてはどうしようもなく、何の対策もできないと言いますか、生徒本人任せになってしまいます。
実技教科なので、絵を描くこと、歌や楽器を演奏すること、運動すること、制作や実習をすること、など副教科には各教科で異なったスキルが必要ですし、それは塾ではどうしようもありません。
副教科が苦手な生徒が来た場合に、通知表が低いと難しいよとは言えないから、当日点で十分に合格できると言わなければ、塾で一生懸命勉強しないですからね。
それが塾側の都合というものです。
■内申点の差を当日点で埋めるのは苦労する
最近感じるのは、5教科の点数って、著しく苦手な教科が無い限り、受験生でそんなに差が付かないなと思っています。
先ほどの100点と80点の差のように、オール5の生徒とオール4の生徒の差は20点あるのですが、それを当日の5教科で埋めるというのは相当苦労します。
もちろん、苦手教科がある場合や、当日に大きくやらかしてしまうと、その時のマイナスは大きいので、アドバンテージはすぐに埋まってしまいますが。
それでも、内申点でアドバンテージがあることは、自分にとってはゆとりに繋がります。
受験生の当日って、大なり小なり、やらかすものだと思っています。
いつもどおりの調子で解けるってことなんて無いと思いますし、そもそも、入試問題ですからね、手ごたえはあったという生徒の方が少ないでしょう。
受験は、「やらかし勝負」ってところもあります。
どれだけやらかさなかったかで合否が決まるって言っても過言では無いです。
やらかしゼロで、自分の実力をほぼ出し切れた人は、まあ合格するでしょうね。(そうでないと受験すら周りから反対されるはずです)
内申点に関しては、すでに結果は決まっているので、やらかす、やらかさないという概念がありません。
確実にその点数が上乗せされるということです。
そのアドバンテージだけでも非常に大きいということです。
このように考えると、内申点と当日点が1:1という高校は、まず内申点だけで合否が分かるはずです。
学校の先生から厳しいですねと言われると、合格するチャンスはかなり低いです。
当日点でミラクル的な点数がないと厳しいということです。
高校受験の制度によっては、内申点だけで順位付けされ、当日点だけで順位付けされ、両方で合格順位であれば合格確定とするところもあります。
内申点と当日点の合計点数で合否を決めるのは、空席があった場合に埋めていく段階というのもあり得ます。
従って、いくら塾の先生が、大丈夫とか過去にいましたとかいっても、内申点(通知表の評定)はしっかりと稼ぎましょう。