余裕がない人がどんどん余裕が無くなってしまう理由、それは遅れている事や負けているものを取り返そうとする焦りがあるからです。
いわゆるサンクコストという埋没費用が最も成長を阻害しているというのは有名な話ですが、それは自分自身を客観的に見つめ直すと、とても良く感じます。
何をするにしても、費用もしくは時間がかかります。
そこで、たとえ自分が想定している結果が得られなかったとしても、そこまでの費用や時間は返ってくることはありません。
現時点で立ち止まって、冷静になって、早めにリスタートが切れるかどうかで、その人の人生が変わってきます。
そして、他人は気分の期待どおりの動きをしてくれないと思っておくことが重要です。
なにより、人には感情とポリシーがありますからね。
自分と同じ考えを持っている人は、いないと考えておいた方が自然です。
それは自分の遺伝子を分けている子孫であっても起きることなので、そもそも遺伝子が全く違う他人なんて自分と違う性格や行動をしてもなんら不思議ではありません。
これも、結果に対する期待があるから、その結果に対して遅れていたり、そもそも思うどおりの結果にならなかったり、ギャップが生まれるからこそ、モヤモヤしてしまうものです。
人間が社会人になるまでの学校などでは協調性というものを学習します。
実際には学ぶというよりも、経験で感じていくものなのですが、これって、人間同士は協調しなくて当たり前だから、協調性を養わないと社会がおかしくなるからだと思うようになりました。
そして、この経験方法には正解はないですし、そもそも感受性が人それぞれ違うので、一つに協調性といっても、個人で全く違って当然です。
けれども、社会というのが集団により形成されているものなので、少なからず協調性があった方が生きやすいから、そのスキルを会得させてくれていると考えた方が良いかもしれませんね。
けれども、感受性の高い人間が、協調性に重きを置いてしまうと、そもそもコントロールできない他人の感情に揺さぶられて、自分自身が病んでしまうのです。
これも、自分の求めている結果からのギャップから起きるものです。
結局のところ、生きている以上、常にギャップは存在するわけで、そのギャップを受け入れられる人が上手に、快適に、安全に生きていくことができるのかなと思います。
■期待するから疲れる
お金を貯めることが出来ない人の多くの割合で、ギャンブルをしている人がいます。
ギャンブルはなぜダメなのか?
これを真剣に考えてみると、サンクコストやギャップに対する人間の気持ちというものが見えてきます。
ギャンブルは期待値が100を切っているからダメというのは常に言われる理由ですが、それはあくまで客観的な理屈であって、この理屈で理性が働く人は、ギャンブルはしないです。
そのような人は、ちょっと数学というか計算が得意な利口な人なので、少し頭の中で計算すれば損になることが分かるからです。
でも期待値が100を切っているからやめておいた方が賢明というのは、理屈上の話であって、それとギャンブルをやるというのは話が別です。
というのは、もし遊びだと(最初から絶対に返ってこない費用だと)思ったとしたら、どうでしょうか?
最初から全て奪われるお金だと思っていたら、そもそも、最初から投入するかどうか吟味すると思いますが、返ってこないことが前提なので、何も感じないでしょう。
この場合、もしかすると、増えるかもしれないという期待値があるからこそ、何でだろうと思うのでしょうし、想定した結果に対するギャップに悩むわけです。
■ギャップを埋めたい焦り
勉強の成績だって同じようなことが言えます。
自分が一生懸命努力したことに対し、結果が伴わない場合、それは期待値からのギャップに悩みます。
よく。受験などで、自分の学力よりも一段下の方が過ごしやすいという話があると思いますが、これも理屈ではなく、そもそも、その人の気持ちの部分が大きいです。
入学した時から平均よりも下の学力で位置していると、自分自身が平均にはなりたいという意識が働いてしまって、上がりたいという想いから焦りがでてしまいます。
その焦りが自分を苦しめることになるので、最初から平均以上の成績に位置していた方が楽というわけです。
そもそも、高校以上は学力で学校を分けているのですから、もっと広い範囲で考えれば、自分の位置なんて別の場所にいるのでしょうが、結局は自分の身近な部分でしか考えられないのも人間の狭い気持ちなのです。
期待値や結果の想定に対するギャップ、それを意識しすぎると息苦しくなってきます。
目標を持たないと向上心がなくなる、積極的な動きができなくなる、それも一つの考え方ではありますが、自分の想定していた結果なんて、そう簡単に到達できるわけないとあらかじめ考えておくのも一つの回避策です。
そして、サンクコストは基本的には戻ってくることはないです。
後から、取り返せたと思うことがあるかもしれませんが、それは勘違いで、その分伸びただけで、基準値が高いか、低いか、だけの問題なのです。
想定外の結果に対し気持ちを切り替えることができるか、そこが人間力を決める部分なのかもしれません。