老後資金で必要な金額は3,000万円と言われることが多いです。
中には、1,000万円で十分であるという根拠や、5,000万円必要だという話もあります。
私が思うには、そのような必要な金額は、何年生きるか、生活水準やスタイル、何をしたいか、持家なのか賃貸なのか、どんな病気にかかるか、によって分かってくると思いますので、全体的にいくら必要かという算出をしたところで余り意味をなさないと思っています。
必要なのは、1ヶ月の生活費としていくら必要なのかということだと思うのです。
なぜ、そのように思うかというと、1ヶ月単位で赤字になると、それは赤字が蓄積されてボディーブローのように効いてくるからです。
1ヶ月を赤字でなく、最悪トントンで生きていくことができると、生活費によって貯蓄を減らすことなく生活できるので、安心できます。
そして、現役時代に蓄えた貯蓄は、臨時的な大きな出費や、子どもや孫のために使うことができます。
この1ヶ月生活費も、その人や夫婦の生活スタイルによって変わるので、何とも難しいとは思いますが、ある程度は把握しておきたいと思うものです。
■1馬力よりも2馬力でしょ
1ヶ月の生活費は、消費支出と非消費支出の合計のようですが、総務省が家計調査報告をしてくれているので、それでおおよその平均値がわかります。
当然ながら、地域差や個人生活レベルによって異なるので、あくまで参考レベルです。
その合計値からの生活費はおよそ『26万円』という試算です。
26万円ということは、年間に312万円、20年で6,240万円、30年で9,360万円となります。
それを貯蓄だけで何とかするわけにはいかないので、公的年金があるわけで、年金で賄う部分などを考慮すると、3,000万円という目標金額が出てくるわけです。
でもちょっと待って下さい。
26万円という金額を年金で賄ってしまえば良い訳ですよね。
FPの方々が算出している目標貯蓄に関しては、基本的に、「夫が働き、妻が専業主婦のモデルケース」を例にしています。
当ブログでは、夫婦正社員共働きのダブルインカムを推奨していますから、そんな例には当てはまりません。
1馬力で26万円の生活費を賄おうと思いから大変なのであって、夫婦2人の2馬力で26万円であれば、50:50なら13万円ずつ、例え70:30であっても18万円:8万円となります。
これなら行けそうな気はしませんか?
■「ねんきん定期便」で夫婦の頑張りを労う
誕生日の頃になると、「ねんきん定期便」というような、これまでの支払額と現時点での年金年額が記されています。
あくまで、現時点なので、国が定めた様々な法案によって減額されるでしょうし、支給年もさらに遅れかもしれませんが、この定期便は働く意欲を高めるために重要な書類です。
私自身もこれから65歳まで働くとして、このペースなら十分13万円はクリアできそうだなと考えています。
何分、今の給与レベルでもクリアできそうなので、今後昇給があると、そのペースは上がってくるでしょう。
逆に言うと、役職を昇格して給与を上げる努力を、無理してまで、必要以上に頑張らなくても良いということです。
年金減額などのリスクを考え、できるだけ給与を上げておいた方が安心ではありますが、給与と仕事上での業務量・責任は、直線比例の関係ではありません。
仕事は長期間で挑むものです。
頑張りすぎて、身体を壊したり、人間関係に歪みができてストレスを溜めたりするくらいなら、ほどほどに細く長く働くのが良いということです。
世の中、仕事で病んでいる人が多いです。
一人で無尽蔵に働いて、家族に心配かけるくらいなら、夫婦で共働きをして、適度な業務量にするのが健全だと思います。
■ダブルインカムで年金もダブルを永遠に
年金額から、働き方意識の方に話が言ってしまいましたが、話を戻して、「ねんきん定期便」により、おおよその年金額が分かります。
夫婦共働きの家庭は、それを合算して、将来予想として月26万円以上の年金がもらえそうなのであれば、すでに安心水準だと思います。
それにより、日々の生活費によって、現役時代に貯蓄したマネーを切り崩す必要がないのですから。
当然、贅沢をすれば日々の生活費は上昇しますが、基準レベルの生活はできることになりますね。
投資でも、日々の収入でも、考え方は同じで、はやりインカム確保が大切だということです。
投資でも、年配になってからのポートフォリオは、キャピタルゲインよりもインカムゲインの確保を第一に銘柄選定をした方が良いと言われるくらいで、日々の収入でもインカムは重要です。
現役時代に、日常は大変な家事・育児をしながらもダブルインカムを貫いた夫婦は、老後における年金というインカムでもダブルインカムを永遠に貫けるということです。
■視野を拡げた考えを
本当は、どの年代においても、この事実に気付ける情報は溢れているのですが、実際のところ、年金のことをしっかり考えるようになるのは、40代?、50代?といったところでしょうか?
私もそうでしたが、20代の若い頃なんて、「年金?何それ?本当にもらえるの?」と思いながら、真剣に考えていませんでした。
近年は、男性・女性に限らず、学生を卒業して、まずは就職する人が多いはずです。
結婚・子育てのイベントによって、退職しようと考える起点があると思いますが、その時に、目の前のイベントだけでなく、老後まで視野を拡げて決断した方が良いのではないかと思います。