みっちゃんの日常
※このエピソードは、 シーズン2 sp5〜10の出来事を 隣の部屋に住む彼の視点から描いたものです。 スーパーで声をかけたのは、俺のほうだった。 仕事帰りで、正直、頭はぼんやりしていた。 楽だから弁当を手に取って、何も考えずに歩いていたとき、 少し前を…
会話は、途切れなかった。 彼は、ゆっくりと言葉を選ぶように話した。 みっちゃんが、どうして頭から離れないのか。 「優しいし、料理もできるし……大人で」 そう言われるたびに、胸の奥がじんわり熱くなる。 嬉しいのに、同時に不安も湧く。 彼女の存在。 そ…
彼の部屋の前に立っていた。 どうしてここに来たのか、 自分でもはっきりした理由はなかった。 インターホンを押す。 短い電子音。 ドアが開いて、彼が立っていた。 「……」 言葉は出てこない。 彼も、何も言わない。 それなのに、 気づいたら私は、部屋の中…
翌朝。 土曜日の朝。 目は覚めているのに、体が動かなかった。 昨夜のことが、何度も頭の中で繰り返されていたから。 あんな声を聞いてしまったら、仕方ない。 胸の奥がざわついて、どうしても眠りが浅くなる。 気持ちを落ち着かせる方法は、それしか思いつ…
一週間が、やっと終わった。 シチューの夜と、あの着信。 考えないようにしても、頭の奥に残っている。 ドキドキと、落ち着かなさ。 それがずっと続いていた。 この一週間、 お隣の彼と会わなかったのが、唯一の救いだった。 そして週末の夕方。 家の前まで…
帰ってからも、ずっと落ち着かなかった。 頭の中はふわふわしていて、 何かを考えようとしても、すぐに別のことが浮かぶ。 鍋に火をかけて、 野菜を切って、肉を入れて、 ルーを溶かして。 気づいたら、シチューができていた。 ……多い。 明らかに一人分じゃ…
月曜の仕事は、いつも通り忙しかった。 会議、メール、急な対応。 気づけば頭の中はずっとフル回転で、身体のほうが先に音を上げていた。 それでも今日は、奇跡的に残業なし。 エレベーターに乗った瞬間、肩が少しだけ軽くなる。 ……でも。 正直、もう何も作…
※本記事は、sp1〜sp4で描かれた日常を、隣の部屋から見ていた彼の視点で描いた番外編です。 ——お隣の大学生目線—— 二浪した。 正直、胸を張れる経歴じゃない。 でも、ようやく大学に行けることになって、 両親は「一人暮らしの練習だ」と言って、このマンシ…
週明けの月曜。 朝は、ゴミの日。 眠気と現実を引きずりながらも、 今日はちゃんと朝にゴミを持って外に出た。 理由は、たぶんわかってる。 先週末。 あの夜。 壁越しに聴こえてきた歌声。 月曜の仕事の憂鬱よりも、 頭の中は、なぜかそっちでいっぱいだった…
夜。 部屋の電気を落としたはずなのに、なぜか落ち着かなかった。 静かなはずのマンション。 テレビも消して、スマホも伏せているのに、胸の奥がざわつく。 ……なんでだろ。 考えなくてもわかってる。 気になっているのは、隣。 でも、耳に届いてくるのは気配…
引っ越し挨拶の次の日。 土曜の朝。 カーテン越しの光がまぶしくて、まだ布団から出たくなかった。 そんなとき。 ピンポーン。 ……また? 休日の朝に鳴るチャイムって、だいたいろくな用事じゃない。 インターホンの画面をぼんやり見て、ため息をつく。 映っ…
友達の彼氏の誘いを、きっぱり断った夜。 あれこれ揺れた頭の中が、ようやく静かになったと思った、そのとき。 ピンポーン。 ……また? 時計を見ると、もう遅い時間。 インターホン越しに映ったのは、見たことのない顔だった。 「お隣に引っ越してきた者です…
玄関の鍵を回した瞬間、肩の力が抜けた。 静かな部屋。 外のざわめきも、昼間の視線も、ここにはない。 ソファに腰を下ろして、深く息を吐く。 ——断れた。 ちゃんと、断れた。 そう思うと安堵が先に来るはずなのに、 胸の奥に、別の感情が引っかかっていた。…
数日後、街でばったり会った。 人混みの中なのに、すぐわかった。 視線が、真っ直ぐすぎたから。 「久しぶり」 挨拶より先に、目線が落ちる。 隠そうともしていないのが、逆にわかりやすい。 ――ああ、やっぱり。 彼女――私の友達とは、うまくいっていないらし…
翌日、女友達からのメッセージは、やけに早かった。 「ねえ、昨日……絶対、何かあったよね?」 ない、って言った。 本当に、ない。 ただ相談に乗っただけ。お金の使い方の話をしただけ。 「そんなことしないし」 そう返しても、既読はつくのに、納得していな…
女友達の彼氏から連絡が来たのは、平日の夜だった。 「ちょっと相談に乗ってほしいんだけど」 内容は、女友達のお金の使い方について。 最近やけに荒いらしい。 それを心配している、という建前。 場所は、駅近くの落ち着いた居酒屋。 半個室で、声も外に漏…
グラスの底に残った氷が、ゆっくり音を立てる。 話はもう仕事でも数字でもなくなっていたけれど、席を立つ理由にはまだならなかった。 伝票が置かれた瞬間、反射的にスマホを取る。 いつもの動作。 その前に、向かいから軽い声が落ちてきた。 「今日は、全部…
終電の案内が、スマホに静かに表示される。 残り三分。 走れば間に合う。でも――今日は、少しだけ疲れていた。 タクシーアプリを開く。 料金は、普段より明らかに高い。 深夜料金、需要増加、全部わかってる。 それでも指は、戻るボタンの上で止まった。 「こ…
グラス越しに、彼の指先が動いた。 見せられたのは、連絡先でも、地図でもない。 ――画面に並んでいたのは、 金額、期間、条件。 そして、やけに丁寧な説明文。 「無理にとは言わないけどさ」 そう言いながら、彼は笑う。 悪くない数字。 想定利回りも、リス…
久しぶりに男友達とご飯に行った。 仕事の話、最近ハマってること、いつもの他愛ない近況報告。 その流れで、自然とお金の話になる。 「この前さ、◯◯に結構使っちゃってさ」 「今これが流行ってるらしいよ、ワンチャン儲かるらしい」 楽しそうに話すのを、私…
夜、スマホが震える。 「○○、値下げしました」 一瞬、指が止まる。 欲しかったやつ。 今なら“お得”。 ……でも、画面を閉じる。 「お得かどうかじゃなくて、 今の自分に“必要か”でしょ」 買わなかった理由を、 誰に説明するわけでもない。 ただ、寝る前にもう…
コンビニでコーヒーとお菓子を手に取って、 レジに並んだ瞬間、ふと考える。 「……これ、今日じゃなくてもよくない?」 値段は数百円。 別に痛くもない。 でも―― **“何も考えずに使ったかどうか”**が、ちょっと気になる。 結局、コーヒーだけ買って店を出る。…