セゾン投信の「第11期 運用報告会」のウェブ公開動画を見ました。
2016年12月~2017年12月までが第11期となります。
第11期は米国株が大幅に上昇していたので、セゾン投信の2ファンドも大幅に上昇でした。
ただ、市場が上昇しているので、上昇して当たり前なわけです。
セゾン投信の何か光るものを見つけなければ、このファンドに投資している意味がありませんから、それを見極める意味でも運用報告会の内容は非常に参考になります。
特に、房前氏の解析は、私にとっては有力な判断ツールです。
本日は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドについて、報告会の内容からの考察を書きたいと思います。
■セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの概要と結果
まずは、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドですが、私自身、このファンドは以前に少しだけ積立投資をしていましたが、現在は休止中です。残高はあります。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの特徴を簡単にまとめられていました。
- 市場の時価総額を基準として、世界の株式と債券に1:1の割合で投資するファンド
- 価格変動に応じて、定期的にリバランスを行う
- 為替ヘッジは原則として行わない
第11期の結果としては、+11.27%ということでした。
プラス寄与の大きな要因は、米国株式の大幅上昇と対ユーロの為替円安効果だということです。
マイナス寄与は、対ドルの円高影響とのことです。
為替に関しては、短期的にみると、円安の方が基準価額の上昇につながりますので、プラス要因で良いのかもしれませんが、積立をしている人にとっては口数減につながりますので、長期的にいうと良い効果なのかどうかは判断が微妙です。
設定来の11期の全期間を見ると、円高の時期や円安の時期などがあり、為替の影響はほぼゼロになったとのことです。
そう考えると、一時的に円安効果で喜んでいても、円高で悲しんでいても、循環により戻ってくるので、あまり効果を考えても仕方ないかもしれません。
「為替ヘッジを行わない」のがこのファンドの特徴ですが、為替の影響がほぼゼロなのであれば、現時点では必要がないことです。
為替ヘッジもコストがかかるということですから、ヘッジをしないという判断は正しいということです。
■リバランスの効果は残念ながらマイナス
このファンドの特徴でありますリバランスの実施については、第11期(2017年)のリバランス効果はマイナスに働いたということでした。
通常リバランスは、高めに推移して拡大している資産リスク売って、安いうちに縮小した資産リスクを買うということをするので、リバランスをした方が、しない方に比べてリターンが高くなるといわれています。
第11期は、2016年の12月と2017年の10月にリバランスを実施したとのことです。
ただ、米国株式が一方的な上昇値動きだったことで、11期の締めの段階ではリバランス効果はマイナスになってしまったということです。
2018年に入って、株式が大幅調整していますので、このリバランス効果がプラスになっているかも知れませんが、こればかりは来年の運用報告会を見ないとわかりませんね。
■分析結果から積立中止を改めて確認した
房前氏の分析から、結果を示すと以下のようになります。
- ベンチマークは無いが、株式と債券の指数から、比較用の参考指数が導き出せる。
- MSCI全世界株式指数(配当有・税引後)とBloomberg Barclays政府関連債指数の合成をして、比較してみた。
- 比較の結果、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの年換算収益率の平均が3.63%に対し、比較用の合成指数は4.75%であった。その差は1.12%である。
- 信託報酬の実績が0.7%程度であり、残りの0.4%程度はリターンが低い運用という考察となる。
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの強みは、年換算標準偏差が11.5%であり、合成指数の13.9%よりも低い。
- さらに、Bloomberg Barclays政府関連債指数の11.9%よりも低い結果であり、債券レベルのリスクの低い運用をしながら、リターンを上げる運用をしている。
私の個人的な感想です。
やはり積立を中止しておいて正解だったと思いました。
私のような労働現役世代にとっては、リスクを抑えて、それによりリターンも抑えられてしまう運用のファンドには積立投資をすべきでないと感じました。
リスクを怖がる人には、とても良好なファンドなのかもしれませんが、それなら低コストの株式と債券のインデックスファンドを買付していく方が賢明かと思います。
ただし、個人でやると2つのデメリットがあります。
1つ目は、リバランスを自分でやらなくてはいけない。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの場合は、ファンドの方針で株式:債券が1:1と決めていますので、ある程度のかい離がみられると、資産クラスの大きい方を売却して、小さい方を買付するというリバランスをしてくれます。
それを自分の判断でしなければならなくなります。
2つ目は、下がっている方の資産クラスを買付していく作業となることです。
上がっている方の資産クラスを買い付けたいという欲求に負けずに、下がっている方を買わなければ、1:1を保てないからです。
投資の感覚としては、下がっている方の資産クラスを買い付けるには非常に勇気がいります。
この2つのデメリットを享受できる人は、自分で運用した方がリターンを増やせるということです。
先日の記事でも書きましたが、株式と債券は短期的には相反する値動きをしながらも、長期的には右肩上がりしていることから、株式と債券の両方を保有しておくことで、リスクを抑えて、ある程度のリターンを得られる運用ができます。
私自身も、もう少し年齢を重ねたら、そのような運用方針を取る判断をする可能性がありますが、現時点ではリスク抑制よりもリターン拡大です。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの積立を再開しなくても良いという判断を、改めて確認した運用報告会でした。