塾事業は営利企業ではあるが、やり過ぎは良くないと思います。
会社である以上、売上、利益は非常に大切です。
誰しも仕事をボランティアとは思っていませんから、やるべきことをしっかりやって、会社の売上と利益を向上させ、そして給料をもらうという構図が成り立ちます
また、会社が株式会社であるなら、株主がいて、紙くずになるかもしれない資本金を投入してくれているわけですから、資金を出してくれた株主に還元もしなければなりません。
なので、会社として塾をしている以上、利益を出すことは命題というわけです。
とはいえ、塾業界というのは複雑なものです。
子どもに対し授業をして、知識を教えていくという業種である以上、ある程度は、教え子の為になる先生でありたいという想いが湧いてきます。
それが、先ほどの会社という事業に相反して、ボランティア精神が芽生えてくるのです。
それが先生であり、それが人に教えることを仕事としている人の宿命ではあるのですが、これが利益と直接には結び付かないから難しいです。
先生の本音と塾の会社事情が異なるというのは世の常ではないでしょうか。
■1日8コマの夏期講習
受験学年を抱える塾にとって、夏休みはかなり稼ぐことができます。
学校が休みですから、夏期講習という授業を大量にやって、授業料を取ることができます。
もちろん、非受験学年も夏期講習はありますが、受験学年ほどではありません。
受験学年だと、非受験学年の何倍もの授業数をやっているかもしれません。
娘が通っている塾は、月曜から土曜まで授業が入っており、1日2コマから4コマの授業があります。
毎日あるので、結構詰まっているなと思っていたのですが、娘の話を聞いていると、友達が通っている塾の方がもっと多いみたいです。
1日8コマで、昼間に4コマ、夕食を挟んで、夜に4コマという日程らしいのですが、これを聞いて、あり得ない・・・って思いました。
学力って、塾の授業を受ければ上がるってことではないのは、先生であれば誰しも分かっていることです。
適度な授業と必要な自学自習の時間、この2つを上手く組み合わせることで、学力の向上が見込めます。
おそらく、その友達が通っている塾の先生も分かっているはずです。
けれども、会社決定のコマ数をクリアするには、1日8コマという過密なスケジュールを予定しなければならない。
それが塾を運営している会社の実態だと思います。
■塾も塾なら親も親
大学受験の予備校でも最近では明るみになってきて、授業の取らせ過ぎが問題になっています。
少子化である以上、塾という業態が事業を運営していくには、授業コマ数を取らせて、お金を払ってもらうしか方法はないです。
授業を受けるよりも、しっかりと復習をして、自学自習の時間を取らないとダメなのに・・・って先生が思っていても、それを生徒にアドバイスすることは会社の方針に背くことがあるのです。
また、親自身も問題で、世の大抵の親は、子どもが塾に通っていると安心します。
家で勉強していると不安になるのです。
それも原因であって、塾が大量の夏期講習時間を取ってくれると、安心して、多額の費用を払ってでも通わせるのが実態ということです。
たとえ、こんなに授業をする意味あるのかな?って思ったとしても、他の子がその授業を受講していると、それにより不安になってしまい、授業を取るのを勧めてしまうのだと思います。
これも、親の勉強不足であり、受験のことを分かっていない、塾の事業を分かっていない、そのような親が多いのが原因なのです。
■課金し過ぎても合格できない
勉強の基本は自学自習です。
これは東大生など難関大学に進学した学生へのインタビューで分かります。
授業を受けるよりも、参考書で勉強した方が効率的であるということです。
なので、成績優秀な者は、学校の授業で内職しますし、特待生で塾の授業を無料で受けることができても、それを使わないで自習室で勉強している人が多いのです。
もちろん、自分が分からない教科や、読むよりも聞いた方が理解しやすい分野などは、参考書で勉強しても無駄に時間が過ぎるだけなので、講義を聞いた方が早いこともあります。
なので、自分自身を見つめて、自分の必要な事を層別できるようにならなければ、本当の受験生にはなれないということです。
極端な話、塾にいくらお金を使っても、結局、受験で合格した者が勝ちです。
受験はある程度の課金ゲーではありますが、過度な授業の取り過ぎは無駄にしかなりません。
娘の月曜から土曜の授業数でも多いなと思っていたのですが、それを超す塾が近くにあったのには驚きました。
個人でやるべき勉強は違うわけなので、必要な勉強をきちんと把握しなければなりません。
何も思考を働かせずに授業を受けていても何の身にもならないですからね。
その辺りは、本人だけでなく、親もきちんと認識しなければならないです。