なんでも道しるべ

資産運用は、判断よりも耐える時間が長い。 数字と感情の間で揺れながら、日常の出来事と一緒に綴る記録。 案内役は、ちょっとツンな相棒「みっちゃん」。 — 資産運用・投資の記録ブログ

🐾 みっちゃんの日常エピソード⑩ 「選ばなかったあとに残るもの」

玄関の鍵を回した瞬間、肩の力が抜けた。

静かな部屋。

外のざわめきも、昼間の視線も、ここにはない。


ソファに腰を下ろして、深く息を吐く。


——断れた。

ちゃんと、断れた。


そう思うと安堵が先に来るはずなのに、

胸の奥に、別の感情が引っかかっていた。


イケメンだった。

話し方も慣れていて、余裕があって。

仕事の話も、年収の数字も、全部が「強そう」に見えた。


「……ちょっとくらい、抱かれてみたかったかも」


独り言にしても、少しだけ恥ずかしい。

でも嘘じゃない。


楽な道は、確かにあった。

お金の心配をしなくていい夜。

誰かの隣で、考えなくていい選択。


でも、思い出したのは友達の顔だった。

笑ってるときも、愚痴ってるときも、

同じ時間を一緒に過ごしてきた記憶。


——それを、天秤にはかける気にはなれなかった。


「お金より、大事なものもあるよね」


そう呟いて、スマホを開く。

いつもの資産アプリ。

増えても減っても、これは“自分で選んだ数字”。


男に頼らない。

誰かの条件じゃなく、自分のペースで積み上げる。


少し遠回りでも、

少し寂しくても。


そのほうが、後悔しない気がした。


……そのとき。


ピンポーン。


静かな部屋に、チャイムの音が響く。


誰?

こんな時間に?


立ち上がりながら、胸が小さく高鳴る。

今日の私は、もう十分揺れたはずなのに。


ドアの向こうにいるのは——

まだ、わからない。

 


― シーズン1 完 ―

次回:シーズン2「お隣さん編」へ

 


🧭 今日の道しるべ

あなたが選ばなかったものは、

本当に「失ったもの」でしたか?


それとも、

守ったものだったでしょうか。

 

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